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PEX_003 展示経験ゼロの僕が個展を開くまでsono3 写真展エスを終えて

12月7日〜12日の5日間の会期で行われた『写真展エス』。人生で初めて、写真作品を出展する行為を終えての気持ちを伝えたいと思います。

1.写真展エスとは

2020年新型コロナウイルスの世界的蔓延に伴い、日常を制限される生活との共生が始まりました。今まで接点を持てた人がそうできなくなり、マスクの着用は半義務のような状況、そして出口の見えない2021年。
新しいコミュニティの在り方を各方面で見出す動きが盛んになり、オンラインコミュニケーションツールを使ったサークルが多く生まれたのもこの時期のように感じます。
写真についてもそうです。コミュニティ形成は、身近なところで発生することが多く、共通の趣味や職業の人が狭い範囲で交流を持つことが地方都市では普通のことで疑うこともありません。また、年齢によってコミュニティへの流入のハードルがあり、やはり後発で写真の門を叩く人間としては、繋がりを作ることが難しい状況は今も変わらないと思っています。
会社では、オンライン会議システムが導入され、会議や研修の殆どがオンラインに変わり「画面の向こうの人」になった僕自身も、新しい人とのつながりが持てないジレンマがありました。社内での活動も精力的にしようにも制限がかかる中、自己重要感を喪失していく人も少なくなかったと思います。会社員としてのコミュニティを保持し続けることが可能なのは60−65歳までだと考えれば、永続的に続けられるコミュニティを手に入れることを考えるのは、少し考えればわかることです。そんな長くない将来を考えたときに、写真を通じて多くの人と交流を持てる、オンラインサロンやサークルの魅力は現在進行形で他に代えられないものだと感じます。写真展エスとは、オンラインサロン「写真喫茶エス」の公募メンバーで行った写真展のことです。

2.何に意味があるかは個人の価値

今回の出展にあたり、企画・運営、当日まで準備と設営・運営を行っていただいた運営チームの皆様には感謝しかありません。ありがとうございます。そして、当日ギャラリーへ足を運んで下さった皆様にも感謝しています。

ガタつきや揺らぎの中で正しいなんてない。
脳裏に浮かんだ言葉をそのまま書いているわけですが、SNSの写真投稿とは異なり、キャプションによる脚注のない写真展は、見る方の想像に委ねる部分も多いと個人的には思っています。感想を書いてくださいとお願いして、よかったです、悪かったです、特にありませんなどの言葉を除けば、人の数だけ感想が存在するからです。感想が欲しいわけではないので、展示をする意味は、個人の中の価値観=エゴもあると思います。そういう意味で「挑戦」という名の体裁の良い言葉を使って自分の中の揺らぎを正当化していました。
出展料と作品入稿、それ以外はAT(オートマチック)で仕上がっていく。文化祭的な盛り上がりは自分の中にはなかったように思い出します。
そこにあることで空気のような写真、淡々と過ぎていく時間。現場の当事者になれないことは、かくも寂しいことなのだなと改めて思うとともに、「どれだけ頼り切ってできたつもり、やったつもりになった人がいることに気づいているのか」と懐疑的になることもあります。
結論は、出してよかった。でも、つまらなかった。
関わらなければ、出しておしまいなのだから、もう少し関われるだけの金銭的・時間的体力を持つべきだと思っています。
出すことに意味はあっても、まだ僕はその価値を感じるまでには至っていないし、価値そのものが何かをわかっていないことだけは言えます。

3.次はどうなりたいと考える

楽しんで多くの人に喜ばれることが最もやる価値があると感じる。それは確かに、そして理想的な結論です。では、僕は次にどうなりたいか。方々に考えることも多いし、一人で進めることも少なからずあるし、チームで進めることもあります。次の企画は「グループ展」です。駅近くの写真店の店頭ですが、4人で写真展を行うことが決まっています。

四人展 『うい』
会期は、2022年2月11日から24日まで、博多駅商店街の中にある近藤カメラさんで展示を予定しています。詳細はまた別の機会に記事にしようと思います。

こうやって頼ることのできない部分を増やすこと、自分達でやってみるが次のステップと考えています。ゆくゆくは、「個展をする」がこの連載企画のゴールなのでステップを着実に踏んで臨んで行きたいです。

4.初めての写真展を終えて

結論は書いた通りです。ゼロベースの僕としては、少ないながら経験と知識の蓄積に役立ちました。買ったプリンターの稼働率も少しだけ上がり、自宅で写真を飾るということを始めました。手のひらサイズの光る画面の向こうに映るものとは違い、見る楽しみが広がり良いものだと思います。
さて、気になった方もいるかもしれませんが、東京で展示された写真作品はどうなったのか。撤収に際して回収できなかったものは、今回の展示規定に沿って廃棄となりました。寂しいような、それで良かったような。
記録用に、展示した写真をデジタルデータでここに置いておきます。


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