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#14 音感の話

集中したいときは、だいたい音楽を聴く。エンドレスで同じ曲を聞いている場合もあれば、歌詞なしのインストの時もある。音楽に奪われる集中力以上に外界から入ってくる不規則な音の方に気取られるリスクの方が大きい。
歌詞がある方が、集中ができないのではないかと言われたことがあるが、歌詞がある曲とインストの曲、自分にとって集中力という観点では、ほとんど変わりがない。基本的に楽器の音は「ドレミ…」で聞こえてきて、何を聞いていていても歌っているみたいなものだからだ。

絶対音感の正しい定義を知らないが、何ヘルツかはもちろん、黒鍵はわかるようでわからないので、絶対音感があるとは言えない、きわめて中途半端。でも、ギターの適当なチューニングくらいは耳だけでできていたから、便利ではあったし、ドラマなどで雨音とエアコンの室外機の音が不協和音で気持ち悪いとか、鼻歌の音程が間違っているからイライラするといったことはない。能力を生かして仕事にすることはできないけど、生活に支障がなくていい感じだったのだ。

昨年、プライベートで久々に時間を作ることができる見込みが立ったので、久々に音楽を再開した。で、気が付いたことがある。
――聞こえ方が、なんか変?
打鍵される白鍵と聞こえてくるドレミの整合性がなんか取れていない。ドだと思ったらシで、レだと思ったらド…半音の違いは吸収されてしまうくらいの音感だし、1音高く聞こえてくる。
もともと学生時代に触っていたトランペットの影響で、B♭管でチューニングされていて、それを意識的に矯正したというのもあり、頭が混乱する。
これはなかなかに気持ち悪い。
10年くらい前は、ピアノの白鍵ならほぼ100%で当てられていたし(実際に自分で検証したこともある)、この能力自体は結構自慢だったのに…orz

調べてみると、薬の副作用や、ストレス、疲れ…と考えられる原因はいろいろあるようであるが、ある知恵袋の回答では、30代半ばから音感が狂い始めたとの体験談があり、自分もこれか…と思う。他の原因に思い当たるところがないから。
まぁ、20代と30代では聞こえている音域も違うし、毎日音楽には触れているが、特別訓練しているわけでもないのだから、仕方ないのだろうな。

毎日、同じように音楽を聴いている。幸運なことにこの間意識を失うような大きな病気をしたこともない。
だから、10年前と現在の自分の間には断絶した期間はないはずなのに、10年前と現在をそれぞれの時間的一点で切り取ると、いろいろなものが変質しているという不思議。

老いは成長だ。この変化を心から楽しめるような年の取り方したい。

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