食ったり別れたり日記 240812-0818
8月12日(月)晴れ
恵比寿のマーサーブランチで先輩ふたりと食事した後、伊勢丹でまた別の先輩の出産祝いを買う。高級ベビー服って、「出資者(※基本的に親以外)の予算」「親の趣味」「ベビー服の常識(幼児が判別しやすい?大きな柄、ポップな色合いなど)」という3つの観念が重なりあう複雑な商品だ。コスパは重視されず、大人の服とは別の美的観念が存在し、着る本人に装いへの自我は(ほぼ)ない。大人の服を買う時と全然勝手が違う。選ぶのに難儀して疲れた。
野菜を買い込んで帰宅。夕飯、ラタトゥイユとじゃじゃ麺。
永井みみ『ミシンと金魚』を最後まで。認知症の老女が生い立ちを振り返る話なので、全編にわたって主人公の人権が軽んじられすぎていて苦しい。レイプ描写もある。『房思琪の初恋の楽園』の後に読むべきじゃなかった。一度に摂取できる暴力描写の限界を超えた。
8月13日(火)晴れ
おとといバイオリンを弾いた割にはマシだと思っていた肩の痛みが1日遅れで襲ってきて、げんなりしながら鍼灸院を予約する。
友人が家に遊びに来ることになり、何を食べたいか聞くと南蛮漬けと言われる。玉ねぎと人参とピーマンを千切りし、出汁を(パックだが)とって南蛮酢を作り、鶏むね肉を揚げ焼きして漬け込む。
友人が家に来る。治療の末ついに妊娠したとのことで、その報告だった。めでたい!が、まだ安定期に入っているわけではないとのことで、ひやひやする。それを知っていたなら、私が彼女の家まで行ったというもの。
つわりであまり食欲がないらしいが、デザートに出したキルフェボンのケーキがハマったようでどんどん食べてくれた。マックのポテトはよく聞くが、脂っぽいものがハマりがちなのかもしれない。
彼女は昔からの友人で、月に1度は会っていたので、ここから1年は会わないし、先月ディズニーランドに行ったみたいに丸1日一緒に出かけることは、たぶん20年近く先までないと思うと寂しい。
なぜ人間は、女性の身体的制約なしでは再生産ができないのだろう。腹立たしい。
今まで通り、23時を回ってもうちでくつろいでいるので、心配になり追い立てるようにして帰ってもらう。すべて一切の問題もなく無事に済むことを願う。いつか再会するが、それでも確かに別れだ。元気で!
8月14日(火)くもり
出社。すると、出社してやるつもりだった仕事が、先輩の手によってすでに片付いていた。なるほどね。お呼びじゃないってか。そうですか。
適当に働いているふりをして、早々に帰路につく。
乗換駅でクチコミのよさそうな立ち飲みのやきとん屋に入ったら大当たりだった。うっとりと電車に乗っていたら、近所の友人からLINE。同人誌の現行で修羅場真っ最中のはずなのに、急遽うちに遊びに来てくれることになる。
作り置きのラタトゥイユと南蛮漬け、冷凍してあったヒレカツの残りでカツとじ丼を食べてもらう。
私がここ1ヶ月ほどの色々な出来事についてすごい勢いで話し終えると、彼女に「いやなんかツイッターとか見てて、今日、早く会った方がいいかもって思ったんだよね」と言われて固まる。「抱きしめてあげようか……!?」と両腕を広げて近づいてきてくれたが、私は固まったままで両腕を差し出せず。「自分が思っているより疲れてると思うよ」と言われてさらに固まる。そうかな?いや、自己受容できてなくてよくないよねって話か。
8月15日(木)くもり
在宅勤務。なんとなく気が向いて、寝室のマットレスをリビングに持ってきて寝転がる。ほとんど寝て過ごした。ごみ。
8月16日(金)雨
在宅勤務のあと、友人と友人の先輩(初対面)との飲み会へ。友人が仕事で2時間遅刻してくることになり、初対面の人間とサシ飲みすることになる。非常に明るく、活気にあふれ、confidentが歩いてるといった感じの方だった。好ましいとかそういうことではなく、感銘を受けた。
他人と諍いが起きても、「怒ってる奴っていちばんエンターテインメントじゃない?見ててもなんにも感じない」「自分に対して失礼な奴は、前世が蝉だと思ってる」等としか思わないらしく、「あなたはなんでも自分、自分で、矢印が内に向きすぎ」と笑われた。自己受容……(今日も)
8月17日(土)晴れ
二日酔いで、いつもながら、二度と酒を飲むまいと思う。
先輩と、先輩のご友人ふたり(初対面)と食事、からのお笑いライブ。
おふたりともすごく素敵な方で、ひねたところがなく、それが外面にもあらわれていて、きれいな方だった。
別れ際に撮った集合写真を見て、自分の顔の四角さにおののく。肥っているのと、食いしばりのせいでエラが激しく発達してしまっているのだ。最近、鏡を見ると反射的にデブ、と思う。もう諦めてボトックスを打つしかないのか。
8月18日(日)晴れ
決死的早起きでオーケストラの練習へ。
江國香織『なかなか暮れない夏の夕暮れ』をここ数日少しづつ読んでいたが、やっと作品のリズムに乗れてきた気がする。本を読んでいて、途中でこう感じられた時とてもすっきりする。
誕生日が1日ちがいの友人と、お互いのお祝いにいつもより上等な夕飯を食べる。
帰りの電車で、「30歳の目標は?」と尋ねたら、「結婚と妊娠」と言われて息を飲む。18年来の友人だが、彼女が宣言した目標を達成しなかったことはない。つまりあと1年で、彼女ともまた一時的に別れることになるということだ。
呆然としながら、先に私が電車を降りた。示唆的な場面になってしまったかもしれない。
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