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感情のハキダメ《続》

先日、私はついに正社員として入社した。ちょうど二週間くらい前だ。
少しずつではあるけれど、職場の雰囲気には慣れてきた。
3つ年下の女の子と、色々愚痴りながら仲良くやっているところだ。

ただ、やっぱり仕事が好きになれない。どんなに努力してもダメだ。
何より、「新入社員だからできなくても仕方がない」とか言うレベルの
仕事のできなさじゃないのだ。ぼくはとにかく、理解が遅い。

ADとして働き始めたわけだけれど、現場でどう立ち回っていいのかよく
わからないし、空気が全く読めなくて迷惑ばかりかけてしまっている。

「今動いたら画角に入ってメインカメラの邪魔になる」って言われたり
逆に萎縮して隅にいたら「映っていいからこの絵を撮って」って言われたり
いちいち難しいのだ。

編集も学生時代にやっていたこととは訳が違い、いろんなことに気を配らなければならず、ただでさえスローペースの人間な僕には複雑な作業は恐ろしく時間がかかる。多分一週間とかじゃ時間が足りない。毎日恐怖で震えながら慌てて作品を作る。先輩に怒られる。萎縮する。今度は丁寧にやってみるけど作業がノロマすぎて先輩に怒られる。萎縮する。それの繰り返しだ。

出演者の方々にも関係者の方々にも申し訳ないし、毎日消えてしまいたいと思っている。できることならば今すぐ居なかったことになりたい。

毎日毎日、死ぬことばかり考えながら出社と退勤を繰り返している。
これが社会人になるってことだもんね…?

「困ったことがあったらなんでも言ってね」
「悩みがあったらなんでも話してね」

そんな風に家族も職場の先輩も、社長も言ってくれる。
でもぼくは信じられない。

そんなの、絶対に嘘だ。誰もぼくの話をほんとうの意味で聞いてくれたことなんてないじゃないか。

ぼくは小さい時から、自分の感情や気持ち、意見をうまく伝えられない。
言いたくないとかじゃなくて、うまく頭の中で言葉がまとまらないんだ。
(こういう書くことに関してはあんまり不自由しないんだけれど。)
必死になって努力して、学生時代は特に不自由せずに生きてこられた。
でも社会に出たら、言語化できない苦しみがまた襲ってきたんだ。

人の気持ちもあまり理解できない。番組を作る仕事をしているけれど、視聴者の立場になるとか、全然わからない。何が面白いのかもわからない。理解できないし想像することもできない。そのくせ、人の顔色を必要以上にうかがってしまってしんどい。人の気持ちも冗談もわからないのに、人の気持ちを知ろうとしてしまう。非常にしんどい。

さっきまでやっていたこと、教えてもらったばかりのことでもすぐに忘れてしまう。だから責められるのが怖くて、わかったふりをしてしまう。いつも頭は真っ白。パニック状態。わからなければ聞けばいいのに、わかっていても迷惑をかけるのが怖いし話しかけるのが怖くてできない。

どんなに苦しくて助けを求めても、誰もぼくの話を聞いてくれない。

「もう少し仕事頑張ってみたら?」
「そのくらいでへこたれてちゃダメだ」
「苦しいことは長くは続かないから頑張れ」
「プロとしての自覚を持て」

わかっていますよ。みなさんとっても正しい。全くもって当然の話。
やっぱりぼくが不出来で、欠陥品なだけなのかな?

もう、誰にも何も話せなくなってしまった。きっと壊れちゃうな。
でもぼくがわらってないと、みんながおこるんだ。

ほら、わらってるよ?ほめてよ…

生きてるだけで丸儲けとか、絶対に嘘だと思う。
お金とか欲しくない。今欲しいのは安心して眠れる場所だけ。
思いっきり泣いても喚いても、許してくれる環境が欲しい。
ぼくの憂鬱をただ聞いてくれるだけの人が欲しい。全員黙って欲しい。

叶うなら。

追伸:編集とか仕事がハードすぎてご飯が定期的に食べられなくなるので、空腹しのぎにコーヒーを浴びるほど飲んだり、腹ごしらえにバファリンを飲むようになっちゃったんだけど、これって普通ですか?

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