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モノづくりログ 3Dプリント出力時の設定のコツ


前回に続いて、3Dプリントについて、紹介したいと思います。
この記事では3Dプリンタの中でも、家庭用プリンタに最も一般的なFDMに絞って解説します。(FDMについては、前回の記事を参照ください。)

サポート材とは

プリント時に樹脂を積層していくにあたり、空中に樹脂をとどまらせることはできないため、「支え」が必要になります。その支えを「サポート材」と呼びます。

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上(図1):プリントしたいモデル(サポート材を非表示にした状態)
下(図2):サポート材つきのモデル 白い柱のような部分がサポート材

サポート材は、出力した後にニッパーなどを使って取り外します。(この辺りはプラモデルのバリ取りに似ています。)

空中と書きましたが、上の段にいくにしたがって造形物が大きくなっているような造形物の場合も、その傾斜の角度がきついとサポート材が必要になります。

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上(図3):カブトムシのY字型のツノに注目。向かって右の方が傾斜角が大きいため、多くのサポート材がついている。

この傾斜をオーバーハングと呼びます。(このオーバーハングは45度以上の傾斜になるとサポート材が必要になることが一般的です。)
何度以上のオーバーハングにサポート材をつけるかは、プリントする際に設定することが可能です。

サポート材をつける面を考える

一般的な3Dプリンタでは、押出ノズルが「1個」しかありません。その場合、造形物に使用する材料(フィラメント)と同じ材料でサポート材も同時につくられることになります。

そのため、サポート材の除去がしづらかったり、サポート除去をした面がやや汚くなってしまう傾向があります。
なるべくサポート材がつかないで済むなら、その方がベターです。
プリント時に3DCGモデルを読み込んだあとに、モデルを回転させることで、出力の向きを決めてください。

サポート材がどうしてもつく場合は、どの方向でつけるとベストかを模索します。この時の留意点は、2つです。

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上(図4):図3を別の角度からみた様子。

①サポート材が少なくてすむ向きで出力
サポート材が増えると、出力時間も、使用する樹脂の量も増えてしまいます。
たとえば、上のカブトムシのツノの例の場合は、横に寝かせるよりも立てた方がサポート材が少なくて済みます。サポート材が少なくて済む方向で出力すれば、消費する樹脂の量やプリント時間を節約できます。
注:ただし、横に寝かせた方が形状として安定するため、立てた時よりも綺麗に出力できる場合もあるので、ケースバイケースで出力方向を変えてください。

②綺麗に出力したい面を優先する
ざっくり言うと、主役で見せたい面を上に、裏側に当たる面を下になるように出力すると主役で見せたい面にサポート材がつかなくて済むので、綺麗にプリントできます。
ただし、①のベストな向きと②とが、必ずしも一致しないことこともあるので、この場合はどちらを優先するかによって出力方向は異なります。

③強度が必要な方向を意識する
実用的なパーツを出力する場合などは、どの方向で力がかかるのか、検討することも必要です。
裂けるチーズをイメージしてもらえるとわかりやすいのですが、積層に対して、水平面だと割れやすく、垂直方向には強いです。


加えて、サポート除去した箇所は、ヤスリで磨いて、後加工をすると良いです。場合によっては、塗装なども施すことで、完成度をあげられます。

パラメータ設定の留意点

FDMの場合は、CGモデルをスライサー(と呼ばれるソフトウェア)で読み込み>Gコード(という3Dプリンタを制御するコマンド)に書き出してから、出力します。

この時、スライサー上で、造形物の大きさ、配置、サポート材、フィラメントの種類、温度、造形スピード...etcを設定できるのですが、その際に主に留意すると良いのは下記の3点になります。

①シェルの厚み
出力物の表面(外側)のことです。2layers、5layersなどと、何周回るかを選べます。
基本的にデフォルトで良いのですが、内部に樹脂を充填せずにシェルだけにすると、薄くて繊細な造形が可能です。

②インフィル ※充填密度と表記される場合あり
=10〜30%くらい。原則40%以下にする
モデルの内部を全て樹脂で埋めるケースは稀で、内部はスカスカな構造で作ることが一般的です。
この内部の充填率は勿論100%まであげられますが、40%以上にすると樹脂の収縮で破損する危険性があるので注意。

③モデル内部充填パターン インフィルタイプと表記される場合あり
=格子 ではなく「蜂の巣(六角形)」が構造的に強くて成功率が高いです
モデル内部を充填する内部構造のパターンをセレクトします。

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上(図5):出力物の断面(内部の様子)。上記の場合、蜂の巣構造で内部が埋められている。

それでも出来ない場合は?

上記の点を踏まえたとしても、うまく出力できない場合や、クオリティに満足いかないケースはあります。
FDMの向き不向きや限界もあるので、その場合は、もう少し特殊な3Dプリンタで試してみるのが良いと思います。
たとえば、サポート材の除去がうまくいかない場合は、水でサポート材を溶かせるタイプ=水溶性サポートが使用できる3Dプリンタを試してみる価値はあると思います。


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現代美術家 プロフィール写真: Kenshu Shintsubo ヘッダー写真: Ken Kato

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