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バタフライエフェクト




私はこれから何年の孤独を知るだろう

瑞々しい一匹の動物は

老齢ぶらず 病弱ぶらず 

背骨を立てて呟いた


百年の重さにも

二十億光年の軽さにも

お前の歩みは捕らわれず 

清々しい競争を生きていく


一瞬の膨大にも

歴史の刹那にも

お前の思考は惑わされず

既に在るものを新しく組み立てる


  つまり

  どれだけの複雑性に耐えられるか

  ということですね


答えを含まぬ反響を聴き 

満足そうに頷いたお前は

今までもそうあったよう

空気を咀嚼し

果てしない大洋へ

ゆったりと泳ぎ出る


それを見送る地中海が

この先は広いよ

いつかは飛ばなきゃならんよ

そして落ちなければならんよ

と 海峡の過去の方で囁いている

  身体がまだ熱いから

寧ろバタフライで置き去りにする

  さようならいってらっしゃい

奥地で友が祈ってくれている









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