卯の花色

di ・ stance



ある日 川端少年はしこたま悩んだ

セックスしちまうとココロが遠のく

体温が伝わるほど言葉が伝わらない

実際に近づけば想像以上に離れてく


 そんなことを文学に仕立て上げるなんざ

 ポルノですよポルノ


緊縛された三島文士は叱りつけるものの


 首を切り落としてもらって皮一枚繋げる虚弱児には

 何も言われたくありません


と返されるため 沈黙の内に鞭に打たれるほかなくなる

実は 痛みの無内容が好きなのだ


 おはなしにもなりませんおはなしに


芥川は席を立つ一足先に そして正しい


 死姦はどうだい楽しいかい


安部公房が上から覗き込んでいる

たぶん世界を 愛を知らない建築家みたいな手つきで触ってる


 彼らからは生活臭がしませんね

 そしてブサイクです


ヘミングウェーあたりがそんなことを言う

そうさお前はダンディーだった

最後の一歩手前まで


***


あてのない学堂で繰り広げられる喜劇を

悲劇と呼ぶのはむしろ無学で

美味しいオリーブを分け合ったことのある人なら

もう少し寝かせておこうかと

大人な提案をする




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