お待たせ



お待たせ!

時間掛かっちゃった。あれからは文字通りの師走でさ、逃げるのも一苦労でお金もないし、時間はそこらにあって参ったよ。でもほんとお待たせなあ。俺さ、ずっとお前に会いたかったよ。いやまじでほんとね。最初からもうさあ、ずっとそんな気分だったんだけどね!こういうのって何だろうね!目を最初に見た時からもうさあ、勝手にこっちは開いててさあ、そっちも勝手口からなにから開いてるってさあ、思い込んじゃってるのも忘れて正面口から土足で上がってね、汚してごめんよ愛してるって伝えたくなるの!もうこりゃあ one more chance, one more time どころじゃねえよこれっきりの大本番で、それでいてさあ思うんだけどね、これって初めてじゃないの。俺のような姿形がお前のような姿形を見つけ、合わさろうとすることは初めてではない。その確信の別の名を盲信と呼ぶとしても私はあなたという真夏の光に飛び込もうと思います。後から振り返ったときに全てを忘れていたとしても、心の空白を爽快に、また同じ道を違うように踊ろうと思います。その記憶を地図として息子に渡していいですか。彼も気分良くスマートに渡ると思います。その川も空も海も。

お待たせ!

待ってないよ全然。最初から決まってたから。山頂から一望するように生きてきてはいたから、この広大で膨大な惑星の果ての地平線あたりから、君が突き進んで来るのを眺めていたのさ!そちらからこちらは見えたかい。森の隙間から雲の切れ間から私の微笑を見掛けたかい。そうかそうだろう!いやあ俺はね、それでもずっとずっと待っていたよ。決まりきった幸福を待ち侘びていたさ。頭の中ではもう何千回と咀嚼して、勝手に内臓に飲み下して、出すものも出して足元に置き去りにさえしていたのさ。でもそれで君はね、私の一番のお気に入りの一つ、飛び込みたくなるパターンなサタン、波を越えて壊したくなる灯台、幾千もの詩を浴びせかけて沈黙を乞う存在、難しい言葉はさておき本題、ねえ、今日のこれで何回目?

お待たせ!




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