レコード




ガーファンクルの歌声の合間に

レコードが何か囁いている

聞き取れぬ不分明を

繰り返し繰り返し

キュルギルギュルリ

 いつかレコードに疵がついたのでした

 その傷をつけたことが起きたのでした

壁紙が少し剥げている

床に大きな染みがある

私には片脚が無い 友人は目を 耳を手を

それらがあるようでない いつからかそう

私はゆらり目を閉じて束の間の橋から

荒れ狂う川に身を投げた










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