萌葱色

間引き





現世は生者の独壇場で

死神こそは間引きする

枯れ木 不動の巨木をも間引きする


若芽や雑草を見過ごしてはいるが それは

何がどうなるか彼にも分からないからであって

そもそもどうして間引くのか

色々な動物に問われてきながら

死神はその度に適当に応えてきた


林を森に仕立て上げたいのさ とか

ジャングルにならないように とか

豊かさには競争が必要なんだ とか

豊かな競争を生むためなんだ とか


でもある日ふとオラウータンが尋ねると

死神は何日か黙り込んだあと

本当は分からないんだ

本当に分からないんだ と言った


全てを知っていたオラウータンが

熟れたイチジクを片手に

仕方ないよと応えた傍を

美しい狼が走っていった




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