勿忘草色

ラムネ




父が 触ってごらんと言う


祖父の額は瓶のように冷やされていて

父は そのことを知っていたらしかった


棺に在るのは死者でなく死体で

冷えた分だけ何かがそこを過ぎ去ってしまったよう


書斎に安置されていた時より色が濃く

身体はまだ何かの流れの中にある


お爺さん

私が見送っているものは何ですか




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