薄藍

悲しみ



昔々の話 月には離れぬ双子がいたのだが

誰かがそいつに槍をぶん投げぶっ刺しぶっ飛ばした


傷口からは血潮が溢れ 

体は炎症に膨れ上がり

今でもグツグツ煮え立っている


怒りにも似た灼熱は 

莫大なる距離の内に慈悲となり

地上では陽光と呼ばれている


ただ夜に 月の反射を通して見ると

ちゃんと悲しみが見え隠れする




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