来歴と行末



私は今

大地にあり 砂漠にあり 海にある

私に触れる風は遠くから吹いて来

私を押す潮は深くから湧いて来

私の噛む砂は大地から削り出されその岩は今海に沈む

私の体は街の群れの中にある

けれど忘れない

私がどこから来たのか そしてどこへ行くのか

それだけの問いを片手に他は問わず黙して

空というものは無い

あるのは大地と砂漠と海と 私の体

そして空白 塗り潰すための白や黒

お前は何もしなくたっていい そのどれもが呟く

私は何者でなくてもいい 図らずも呟き返す

そしてされど歩いていく

何を踏み何処へ行くのかも知らずに

何を忘れどう想い返すのかも知らずに

今ここで一度 私は全てを忘れる

全てを 忘れる






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