亜麻色

名前のない



 誰かと美味いものを分け合い、それを喜ぶことは、人間の生の大きな目的になると思っています。生存することや、遺伝子を保存することのみを「目的とする」生物が多い中、これは非常に特殊なことのように思います。虚ろだったり、自死に向かう人というのは大体、隣に誰も居なかったり、美味いものを知らなかったり、分け合う心を持たなかったりする人だと思います。でもたまに、隣に誰か居て、そこに美味いものがあって、分け合い、そして喜んだはずなのに、それらが生として響かない人もいると思います。それは名前のない病気なんだと思います。




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