『彼女のイデア』という百合漫画

蛙化現象とは、好意を抱いている相手が自分に好意を持っていることが明らかになると、その相手に対して嫌悪感を持つようになる現象を指す。

蛙化現象 - Wikipedia

蛙化現象───今年、2023年、Z世代の間で特に話題になった言葉の1つです。
正しくない意味で使われてはいたものの、言葉自体の知名度は一気に上がったのではないでしょうか?

私はこの言葉を聞くと、ある漫画を思い出します。

冬芽沙也の漫画、『彼女のイデア』です。

まずどのような関係性か

自分に自信が持てない女子高生ファン×同級生トップ女優の歪なカンケイ

カドカワストアより、『彼女のイデア』(1)の商品紹介から部分的に引用

では、これを蛙化現象で考えてみましょう。

蛙化現象を起こしやすい人とはどのような人か?
それは「自己肯定感が低い人」です。平たく言ってしまえば、

「こんなにダメな私を好きになるなんてどうにかしている!私のことを好きになんてなるはずがない!」

こんな感じです。たぶん。

この作品に登場する「日向いと」(ショートヘアの女子高校生のほう)が、この蛙化現象を起こしやすい性質を持っていることが作品内で描写されています。

微妙にネタバレになってしまいますが、彼女の台詞を一部紹介すると、

「こないだのドラマ撮影も今日のこともどう考えたって不釣り合いじゃないですか。か…かわいいっていうのも澄花さんしか思ってないですよ」

1巻p.115より引用

目の前にいるこの人は誰?私が、好き?違う、違う「澄花」が私なんかを好きになるわけない…あぁそうか「澄花」はこの世界に存在しないんだ。

1巻p.185-186より引用

と、彼女の自己肯定感の低さ、あるいは無さが伝わります。

正直言って私自身も自己肯定感は低い、なんなら否定される方がその相手を信用できるまであったりします。昔はそんなひねくれた人間じゃなかったんですけどね……。(唐突な自分語り)

こういうふうに「いと」に強く共感出来るこの作品が大好きですし、こういうふうに私に突き刺してくるこの作品が大嫌いです。

と、締めた感じな文章を書きましたが、好きポイントは他にもたくさんありまして……

例えば、自己肯定感が低めな「いと」の成長が描かれる点。

先ほど引用したような、1巻での自己肯定感皆無な「いと」は完結する3巻ではもういません。
大切な澄花をまもるために、強くなった「いと」が描写されています。 

それが、「いと」が強くなった、成長したことがわかるのはやはりこの一節でしょう。

「結果的にそれが新しい仕事に繋がったり、ファンが増えたとしても、澄花が苦しんでるなら私は嫌です!」

3巻p.117より引用

少なくとも言えることは、1巻の「いと」ではこんなことは言えません。

ここまで読んで気になった方とりあえず1話を読んでみてください。いや読め。

これを読んでなお続きが気になった方ぜひ単行本を買いましょう。
(なお、紙本入手不可なんで電子書籍でしか現状入手出来ないと思われます。

文才皆無ってことが丸わかりのクソみたいな感想文ですが、最後まで読んでくださった方ありがとうございました。

(この記事はういこ氏による「マストドンじゃぱねっと鯖アドベントカレンダー2023」の12月7日の記事です。気になった方は他の方の記事、投稿もぜひお読みくだだい。)


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