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交換レンズにおけるAF駆動モーターの種類

今現在販売している各社の交換レンズは、大半がオートフォーカス対応となっているが、その中で気になる文字があるのにお気づきだろうか?
ここではその気になる文字について解説していきます。


AF駆動モーターの種類は?

交換レンズには必ずと言って良いほど図の○で囲っている文字を見かけますよね。

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図のレンズであれば

「CANON LENS RF35mm F1.8 MACRO IS STM」

と表記されています。

ではこの文字の中で「AF駆動モーター」に当たるのはどれか?




答えは「STM」の部分。
「RF」はレンズマウント、「35mm」は焦点距離、「F1.8」は開放F値、「MACRO」はマクロレンズ、「IS」は手ブレ補正を指します。
(レンズ名称の見方については後日取り上げる予定です)

「STM」って何なの?と言う事になりますが、それはこれからご説明します。

カメラにおけるAF駆動モーターは大まかに言うと下記の4種類に分かれます。

・DCモーター
・超音波モーター
・ステッピングモーター
・リニアモーター

それではそれぞれのモーターを見ていきましょう!


DCモーター

オートフォーカスのモーターがカメラ本体からレンズへ移行した時に登場した駆動モーターであり、「直流モーター」の事を指します。
(DC = Direct Current = 直流)

AFのレンズが出始めの頃に採用されたモーターのため、駆動音が大きい点が一番の悩みと言って良いでしょう。一部のファンから「ジーコレンズ」と呼ばれていますが、この「ジーコ」はAF駆動音から来ているようです。
(元サッカー選手の事では無いですよ)

大きなAF駆動音のため、動画撮影には不向きです。
下記動画の1:32辺りにAF音がありますので、是非聞いてみてください。
(全編英語の動画です)


超音波モーター

上記のDCモーターでは駆動音が大きくうるさいため、駆動音を静音化させるために登場したのが「超音波モーター」になります。

「超音波モーター」は、メーカーによって名前が変わります。
代表的な名称は下記の通り。

キヤノン・・・USM(Ultrasonic Motor)
ニコン・・・SWM(Silent Wave Motor)
ペンタックス・・・SDM(Silent Drive Motor)
ソニー・・・SSM(Super Sonicwave Motor)
シグマ・・・HSM(Hyper Sonic Motor)
タムロン・・・USD(Ultrasonic Silent Drive)、PZD(Piezo Drive)

モーターは「リングタイプ」「マイクロタイプ」の2種類で、「リングタイプ」が比較的多く用いられています。

レンズが古いと音が大きいですが、比較的新しいものは音が静かになっています。また、レンズ自体に距離の目盛りが付いているものはピント合わせ時に「コーッ」と言う音が若干します。
動画撮影に関してはまぁまぁOKですが、音が気になる場合は外部マイクを併用すると良いでしょう。

キヤノンでは、最新のレンズに小型でトルクの高い「ナノUSM」を採用しており、AFの高速化と動画撮影の静音化を実現しています。

<使用例>
・EF24-70mm F2.8L II USM
・AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR
・FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS(リニアモーター併用)


ステッピングモーター

超音波モーターより更に静音化させるために登場したのがこの「ステッピングモーター」です。メーカーによっては「パルスモーター」と呼ばれます。
先ほど「AF駆動モーターの種類は?」のところで出て来た「STM」は、このステッピングモーターの事を指しています(Stepping Motorの略称)。

比較的安価なレンズに採用する例が多く、高額のレンズになると上記の超音波モーターを利用することが多いです。
レンズによって「リードスクリュータイプ」か「ギアタイプ」の2つに分かれ、「リードスクリュータイプ」はズームレンズ、「ギアタイプ」は単焦点レンズにそれぞれ用いられます。
(単焦点レンズにおいてリードスクリュータイプを用いる機種もあります)

AF駆動をしていてもリードスクリュータイプは殆ど音はしませんが、ギアタイプのものは若干駆動音がするので動画撮影時は注意が必要です。
(※以下「リードスクリュー」はLS、「ギア」はGと略す)

<使用例>
・RF24-105mm F4-7.1 IS STM(LS)
・EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM(LS)
・EF40mm F2.8 STM(G)
・NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 ED VR(LS)
・18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅲ VC(LS)


リニアモーター

AF用レンズの動作に電磁石を用いるタイプのモーターですが、「リニアモーターカー」と言えばピンと来る方も多いかと思います。
このリニアモーターをAF駆動モーターとして用いられているのは、キヤノン・ペンタックス以外のメーカーです。

安価なものから高額なものまで幅広く使われ、駆動音が静音なので動画撮影にも向いています。レンズによっては電源を切ると電磁石が解除される為、中のレンズが「コロン」と音を立てる事があります。

<使用例>
・Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS
・FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS


どのモーターが一番静音なのか?

動画撮影で気になるのは「AF駆動音」になって来ますが、私の体感ですとステッピングモーターが上手かな・・・と思います。AF駆動音が殆どしませんからね。ただし、これはあくまでもLSタイプの方であり、Gタイプは駆動音がしますのでおすすめ出来ません。
キヤノンが最近出した「ナノUSM」も負けてはいないので、超音波モーターも捨てがたい。


最後に

今時のカメラレンズのAF駆動モーターは、超音波モーター・ステッピングモーター・リニアモーターの3種類が多く使われており、DCモーターは中古以外で姿を見かけなくなりました。
(採用してもキヤノンのEOS Kiss X90のレンズキットぐらいでしょうか)
なので、動画撮影においても駆動音がそこまで入らなくなったレンズが多くなったため、AF駆動音で困ることは無いと思います。

動画撮影したい方は今回の記事をご参考に、レンズの購入を検討してみてください。


【お詫び】
「リニアモーター」の項目にて用いられているメーカーを「キヤノン・ペンタックス・タムロン以外」と表記していましたが、正しくは「キヤノン・ペンタックス以外」でした。お詫びして訂正いたします。




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