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ホムサ・トフトと一緒にがんばる!:『ムーミン谷の十一月』の話

『ムーミン谷の十一月』をペラペラめくっていたときに、とっても些細なことですが、その時にホムサ・トフトに元気づけられたことを書きます!

ホムサ・トフトは、『ムーミン谷の十一月』だけの登場人物です。彼は、ムーミンママに会いたくてムーミン谷を訪れましたが、家にムーミンたちはいませんでした。この本では、ヘムレンさん、フィリフヨンカ、スナフキン、ミムラねえさん、スクルッタおじさんもそれぞれ目的があって同様にムーミン谷にやってきます。彼ら6人は、しばらくムーミンの家で過ごします。

ホムサ・トフトは、ムーミンの家で本を読みますが、その様子は以下のように書かれてます。

 とてもあつい、大きな本です。はじめのページもおしまいのページもちぎれています。どのページも、黄色く色がかわって、はしっこを、ねずみにかじられています。
 ホムサは、本を読むのは不慣れでした。一字一字たどりながら、一行読むのに、とても時間がかかりました。ホムサは、その本を読んでいけば、ムーミン一家の人たちが、なぜいってしまったのか、いま、どこにあるのか、わかるような気がしていたのです。でも、本にかいてあるのは、まるっきりべつの話でした。ふしぎな動物やら、暗いけしきのことが書いてあって、ホムサの知っている名まえは、ひとつも出てきませんでした。
(中略:本に書かれている「ちびちび虫」のこと)
 ホムサ・トフトは、本を持つ手を下にさげました。なにをいっているのか、よくわかりませんでした。長たらしくて、意味がつかめません。でも、そのふしぎなことばは、美しい気がしました。それに、自分の本なんて持ったのは、これがはじめてです。
(新装版『ムーミン谷の十一月』p. 88−90)

このあたりを読んでいるときの私は、読み進めているスウェーデン語の文章の単語が難しくて、1日数行しか読み進まないことに落胆していたところでした。ホムサ・トフトが、読むのが遅いのに一生懸命読んでいる姿に胸を打たれ、単純ですが、「読むのが遅くても読み続けよう!」と気を持ち直しました。ホムサも一緒なら、がんばれる気がします。


今年もまた、『ムーミン谷の十一月』を読み通し、奇妙な6人の11月を見届けたいと思います。前にも書いたかもしれませんが、最後の大掃除の場面を読むと、年末の掃除をやる気になります。

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