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ヒント|ビジネス

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ビジネスのヒントの詰め合わせです。 【参考記事】 竹村俊助さん 谷尻誠さん
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#出版

「このまま本だけつくっていて大丈夫かな」と感じている書籍編集者への手紙

1冊の本をつくるとき、書籍編集者は毎回「ゼロ」からスタートします。 もちろんこれまでの経験則から「きっと売れるはずだ」と信じてはいるけれど、それは単なる「見込み」にすぎません。本当に売れるかどうかなんて、出してみるまでわからない……。 しかも以前に比べると書籍マーケットの不確実性もずいぶん高くなりました。「こうすれば売れる!」という法則なんて、ほとんどないも同然です。 毎回、ゼロからスタートできること――。 それは本づくりの「楽しさ」であり、同時に「しんどさ」でもあり

なぜ「売れそうですね!」は危険ワードなのか?

 本ができあがって、営業のみんなやまわりの人に見せていると「売れそうですね」と言われることがある。 「売れそうですね」  うれしい言葉だけれど、気をつけないといけない言葉でもあると思う。それは「売れそうですね」のあとに「自分は買わないけど」が潜んでいることがあるからだ。  試しに「買いたいですか?」と聞いてみると、答えに窮するような反応を見せる人もわりといる。(「買いますよ!」もおべっかだったりするので注意。そりゃ編集者本人に「買いません」とは言いづらいよね……。)

「ターゲット」を誰にするか問題

「年齢」「性別」で分けられる時代は終わった 今日はマジメにマーケティングっぽい話を。  会社に提出する本の企画書には「読者対象(ターゲット)」を書く欄があります。「20代の働く女性」とか「40代の男性リーダー」などと書くのですが、ぼくはいつもその欄を埋めるときに悩んでしまいます。  ぼくは「◯歳の男」「職業が◯◯の女」などとターゲットを決めて本をつくることはあまりありません。年齢や性別、職業などで属性を分ける時代はもう終わったと思っているからです。  では、誰をターゲッ

「仕事に困らない人材」になるには、自分についているタグを意識する

 あなたがテレビ番組のキャスティングを頼まれたとしたら、誰にお願いするでしょう? プロデューサー「魚に詳しくて、話が面白い人いないかねえ……」 あなた「さかなクンでしょうね」 プロデューサー「若くて明るくてコメントもできるような、女子に人気の誰かいないかねえ……」 あなた「藤田ニコルとかどうですか?」 「この仕事、誰にお願いしようかな?」という場面で、真っ先に名前が挙がる人がいます。それは強力な「タグ」がついている人と言えるでしょう。「タグ」。インスタグラムなどにつける

「書き手が言いたいこと」と「読者が聞きたいこと」は違う

 編集者には「著者・書き手にテーマを提案する」という大切な仕事があります。椎木さんには「経営」を、可士和さんには「打ち合わせ」を、新谷さんには「文春の仕事術」を、という具合です。  どういうふうにテーマを見つけているのか?  まず興味を持った人物がいたら、その人の情報をほぼ全て収集します。  過去に本を書いていたらその本にはひととおり目を通し、Webや雑誌のインタビュー記事があれば、それもすべて入手して目を通します。ツイッターをやっていたら過去にさかのぼってツイートを見

「差別化」という言葉を聞いたら疑え

 本の企画会議や打ち合わせで「類書は何ですか?」と聞かれることがある。  類書。ようは「この企画に似ている本はあるのか?」「前例はあるのか?」ということだ。おそらく、企画の良し悪しやおもしろさが自分の感覚ではわからない人が「担保として」聞いているのだろう。似たような本が売れているなら安心だし、そうでないならリスクがある、ということなのだろうか。  ぼくの知っているヒットメーカーの編集者は類書を一切見ない。似たような本を買ってきて研究することも一切ない。それよりも目の前の原