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中村市をめぐる万物収集報告展に行ってきた

11月22日。東京谷中にあるHAGISOにて行われている『中村市をめぐる万物収集報告展』に行ってきた。
 以前もご紹介した、空想地図作家「地理人」こと今和泉隆行氏。実在しそうでどこにもない空想の街「中村(なごむる)市」の地図を描き続け、書籍出版や講演なども行っている。
 今回は、その中村市に住むとしたら?というテーマで観客にも参加してもらうという、風変わりなイベントである。

 早速余談だが、長らく田端界隈に住んでいて谷中銀座を通るのは初めてだった。日暮里の駅の南北での変わりように驚きつつ、住宅街にひっそりと佇む木造アパートを改築したらしいイベントスペースにやってきた。

 午前中のワークショップは即満員となり行けなかったが(同様のワークショップの模様はこちらで)、引越し相談会と銘打たれた午後のイベントに参加した。
 今和泉氏と数名のスタッフ(?)が不動産屋に扮し、架空の地図と架空の間取り図を前に、もし引っ越すとしたらという話で盛り上がる。
 一見の人にはフーンで終わりそうなイベントだが、これが恐ろしく面白い。何といっても地理地勢はもとより、人工分布や生活動線、交通や建物の歴史や変遷まで緻密に計算して空想された地図であるがゆえ、ありそうな生活圏にありそうな物件がありそうな値段で見つかってしまうのだ。

 手数だが、少しでもご興味を持たれた方はこちらのPDFをDLしてご覧いただきたい(結構重いのでご注意を)。

 まず市販の地図と何ら遜色ないデザインに驚嘆されると思うが、そこに描きこまれた街のリアリティにも注目していただきたい。主要鉄道の駅があり、それを中心に商業地が栄え、やや離れると住宅地が始まり、その生活圏内に中小規模の商店が集まり……と、そのバランスやレイアウトまでもが、まるでどこかの地方都市そのものなのだ。
 仮にあなたがどこに住みたいかと考えてみる。勤め先の立地や学校を起点に、鉄道や道路を介して通勤圏を設定する。景観や周辺の施設に目を配り、生活圏の充実度などを考え始めると、どうだろうか。もうそこで生活するあなたの姿が、思い描けはしないだろうか?
 そうした空想を破綻なく受け入れてしまえるシステムが、一人の男の空想によって成り立っていることが、ある意味恐ろしくすらあるのだ。

 そんな精緻な空想に魅せられてしまった空想家は他にもいるらしく、中村市を通る鉄道のダイヤを空想したり、この世界で流通する貨幣や公文書をデザインしようとする人。また中村市の鳥瞰図を書く人も現れたというのだから、空想は広大である。会場ではそうした施策(思索?)の結果の一部も展示している。

 会期は29日まで。空想を超えたリアリティ。未日常の一端を垣間見てはいかがだろうか?

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