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中古マンションを買って引越した話(前)

2年半ほど前、表題の通り中古マンションを買った。投資用としてではなく、自分が長く暮らしていくための家として。
自分の人生できっと何度もない経験として貴重なものだったし、細かいことをだんだん忘れて思い出せなくなっていってしまうのも寂しい。
こんな流れだったなと後からでも思い出せる備忘録として購入前から引越し後までをゆるっとざっくり書いていこうと思う。

マンションを買おうと思ったきっかけ

26、7歳の頃、周りの友人達の結婚ラッシュがあった。友人達の幸せそうな姿に感動し、楽しく式に参列もした。ただ、素敵な花嫁姿を見ても「自分も結婚してそうなりたい」というような憧れの気持ちが湧き上がってこない。憧れだけではなくて、誰かと家族を作って暮らしたいとか、自分の子どもを持ちたいとか、そういう気持ちが自分でもびっくりするくらい全く心に浮かんでこなかったのである。

小さい頃は漠然と、大人になったら仕事をして結婚して子どもを産み育てて家を建てて……と自然にそうなっていくものだと思っていた。でもそうしたい気持ちが全く湧かない。「あ、私はこれからも独身でいく方があっているのかもしれない」とぼんやり考えた瞬間だった。
そして独身のまま生きていくのならもう少し自分の人生をどう過ごしていきたいのか考えないといけないな、と思い始めたのもこの時だった。

ライフプランの練り直し

今後をどういうふうに生きていくか、仕事、貯蓄、親の老後……と簡単に練り直していく中で、「家のこと」も検討項目として挙がった。

当時は23㎡くらいの1Kの小さな賃貸アパートで猫と一緒に一人暮らしをしていたのだが、今後を考えた時にまず浮かんだのが「ずっとこの狭い部屋で生きていくのは嫌だな」というものだった。日当たりのいい部屋だったけど、もっとのびのびと猫と暮らしたかったのだ。
何かあれば引越しやすいとか、家の不具合もある程度は大家さん持ちで修繕してもらえるとか、賃貸で暮らすことにもメリットはいろいろある。
ただ、変化が苦手で住居をコロコロ変えることがない私の性格や特に転職予定がない環境上いまいちメリットを享受しにくい。独り身で老いた時に賃貸契約をしにくくなるという話もよく聞く。それならわざわずっと賃貸物件で過ごさなくてもいいのでは?という考えに至った。

実家は両親の持ち家なので将来相続する可能性はあるが、年をとってから生活していくにはあまりにも立地が悪い場所である。他県に兄もいるので、そもそも私が相続するのかどうかも分からない。
よって実家に戻るという選択肢はなかった。

それならもう、うだうだ考えてないで自分で家を買っちゃえばいいのでは?
ふとそんなふうに思うようになったのだ。

どんな家にする?

さて、家を買おうと思いついたはいいものの、検討しなければならないことがいろいろある。

一軒家かマンションか

一軒家は自由度が高いけれど、その分あらゆる管理は全部自分でしなければならない。マンションは管理組合がきちんと機能しているところなら管理面の負担は減るけれど、規約に縛られ近隣との距離は近い。
どちらもメリットとデメリットはあるけれど、面倒臭がりな私が年をとってからも暮らしていくところを探すなら管理面の負担が少ないマンションの方が楽ではないかと考えた。また、一人と猫一匹で暮らしていくには一軒家は広すぎるのでマンションを探していくことにした。
ついでに、もし今後人生設計が変わることがあっても、マンションなら人に貸したり売りに出したりしやすいかもしれない。

新築か中古か

これはわりと悩まず中古に決めた。
新築、高い。福祉職で安月給なので住居費がかさむのは辛い。できれば賃貸生活で負担している住居費とそこまで変わらないくらいの月負担でいきたい。
幸い中古に抵抗はないし、中古ならきちんとそのマンションが管理されているかとか、大規模修繕の計画がどう進んでいるか分かるし……。あと中古は他の部屋にすでに住人が住んでいるため、厄介そうな人がいれば事前にある程度回避できるかと思ったのだ。

優先事項を考える

中古マンションで探していくことは決定。……とはいえ、それだけだといくら地方在住といっても数が多くて候補を絞るのが大変。だからといって、あれもこれもと理想や希望をがちがちに固めすぎると「そんな夢の家なんて存在しねぇよ」みたいな状態になってしまう。

そういうわけで自分の考える条件を、
・必要不可欠なもの
・叶えたいけどある程度は譲歩できる
・叶ったら嬉しい程度
の三つに分けて整理して探しやすくすることにした。

私の場合の必要不可欠な条件は、「ペット飼育可」「予算範囲内で収まる」「治安や安全性」だけ。
猫を連れている時点でペット飼育可は当然譲れない。予算についても、今後も一人でローンを返済して生活していくのならある程度貯蓄もしていける設定にして身の丈にあったものにしておきたい。長く暮らしていく場所としてマンションを買うのだから治安や安全性は言わずもがな。
自分にとって譲れないものを決めるだけでもずっと絞りやすくなった。

ある程度譲歩できる・叶ったら嬉しい程度の条件はいろいろあるけれど、例えば間取りや駐車場の有無なんかが私にとってのそれだった。

間取りはなるべく2LDKがいいなと思っていたけれど、ある程度広さに余裕のある1LDK~3LDKまでを許容範囲とした。土地柄的にマンション購入するのはファミリー層がほとんどで単身者用が少なかったため、自然と選択肢は2LDKか3LDKに狭まった。
ちなみに2LDKがよかったのは、暮らしていた賃貸アパートが1Kだったため寝室を作りたかったことと、猫部屋を用意したかったからである。また、私の面倒臭がりな性格上、部屋数が多かったり広すぎたりすると掃除が億劫になり絶対手に余る。余った部屋が物置になるのがオチだ。そして何より広すぎる家にして固定資産税が高くなっても困る。

駐車場は通勤や生活で毎日車を使用するため必要だが、マンション敷地内の駐車場が空いていなくても近隣の月極駐車場を使用することができるなら譲歩することにした。

こんな感じで、マストな条件だけではなく、ベストじゃなくてもいいところ、ベターでも許容できる部分はどんなことかを考えていった。

ここまででいったん保留

……と、ここまで考えたところでいったん検討を中断した。さすがに「ずっと独身でいるかもな~」と考えただけでそれほど急ぐ必要も感じなかったからである。家を買うとして大きな買い物になるし、もしかしたら家を持ちたいという気持ちが一過性のものという可能性もある。
「30歳を超えたころにもっと真剣に家を探そう」と決めて、自分の中で寝かせておくことにした。
それからは暇な時に某不動産ポータルサイトで中古マンションを検索しては物件を眺める日が続いた。間取りを見て「この部屋ならベッドをここに置いて……」等と妄想しながら楽しんでいたと同時に、その期間はその土地のだいたいの相場を把握するのに役に立ったのかもしれない。

そろそろ本格的に家を探そう

そうして時は流れて区切りとして決めていた30歳になった。
この間全く価値観や生活に変動もなく、やはり家が欲しいという気持ちも強くなるばかり(不動産サイトをよく見て楽しんでいたのでそうなるのも当然かもしれない)。
そろそろ本格的に物件購入を検討するか!と動き始めた。ついでに言えば物件の値段にもよるけれど、35年ローンを組むなら定年までに払い終えたいとも思っていたためあまり先延ばしにしたくなかった。

そこから「これは」と思う物件が出るまで毎日のように不動産サイトを監視すること数か月。ペット飼育可の気になる物件を三つにまで絞った。以下がその三つの簡単なスペックである。

物件①
予算ギリギリ/安全性にやや難/3LDK
・軽いリフォーム(フローリングとクロスの張替え)がされている
・築15年程度
・マンション前面道路が交通事故が多く渋滞しやすいのが気にかかる
・3LDKだけど100㎡近くあって広すぎる

物件②
予算内/安全性良好/2LDK
・リフォームなし
・築12年程度
・サイトには間取りのみで室内の写真が1枚も掲載されていなかったため様子が分からない
・駐車場が空きなし(近隣には月極がある)

物件③
予算内/安全性は普通/2LDK
・リフォームなし
・築12年程度だけど、サイトで見る感じ室内に傷や汚れがありそう
・他に気になる点はないがなんだかビビッとこない

利便性は、
②>③>①
だけど①は居住していた賃貸アパートと同じ地域のため慣れている。

職場への通いやすさは、
②>①>③
実家への行きやすさはこれの真逆となる。

それぞれメリットとデメリットはあるものの、②は満たす条件が頭一つ抜けている状態。でも情報が少なくてよく分からない。
とりあえず不動産サイト内のそれぞれの物件のページでローンシミュレーションをしてみたり、どの物件も身に行ける距離だったため外観を見に行ってみたりした。
物件について変な話がないかウェブ検索してみたりもした。検索した限りでは特に変な噂も見当たらず、事故物件検索にも載っていなかったので少し安心。また、ウェブ検索で②の大まかな内装が分かった(数年前に別の部屋の売買があったようで、その時の写真が検索に引っかかった)けど、その後も物件ポータルサイトに②の内装写真は掲載されず実際がどういう感じかは不明なままだった。

いつまでも画面上だけの情報を眺めて唸ってみても分からないものは分からないし話が何も進まない。
ということでまずは腹をくくって、資料請求をすることにした。


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