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あなたのコミュ障はどこから?

最近コミュニケーションの難しさを感じたのは、好きな音楽の話になったときだ。

私は「どんな音楽を聴くの?」という問いに答えられない。
まず、好きな音楽のジャンルなんてものがない。なんでも聴くし、なにも聴かない。
それに、自意識過剰だからどんな答えを返せばいいのか分からないのだ。

コッペリアのマズルカが好きだ。サティのジュ・トゥ・ヴが好きだ。ラ・カンパネラが好きで、カプリース24番が好きで、トロイメライが好きで、別れの曲が好きで、月の光が好きで、死の舞踏が好きで、トレパックが好きで、花のワルツが好きで、金平糖の踊りが好きで、シンコペーテッド・クロックが好きだ。
だからといって「クラシックが好きです」といえるほど聴いているわけではないし、そんなこといったって相手に「高尚ぶっている」と思われるだけだろう。

それから『醜い獣、ルドウイーク』が好きで、『Megalovania』が好きで(Undertaleの曲だったらアズリエルのBGMも好き)、ENDER LILIESのBGMが好き(特にウルヴのoutroとユリウスのintro)だ。あと『From a Place of Love』とか『String Theocracy』も好き。ホロウナイトの『Grimm』も好き(悪夢の王じゃなくて巡業団の長の方)だし、オブラディン号の帰還の『Soldier of the sea』も好き。
要はゲーム音楽だが、「ゲームのBGMが好きです」とか言ってもたいてい伝わらないし、話も盛り上がらない。

アニソンも好きだが、選曲が若干古いかもしれない。最近のアニソンあんまわからん……けど、メイドインアビス2期の『かたち』は好きだし、ベタだけど『KICKBACK』好き。
しかしいまだにまどマギの『and I’m home』とか『colorful』を聴いて大騒ぎしているし、2009年頃のヘタリアのキャラソンが好きだ。
でも昔のアニソンの話をしたってやっぱり伝わんないし、懐古厨のアニオタと思われて終わりやんけ。

あとマキシマムザホルモンの『これからの麺カタコッテリの話をしよう』が好きだ。だからといってファンだといえるほど他の曲を聴いているわけではない。

洋楽もたまに聴く。『Classic』とか『You Can’t Hurry Love』とか。あとこんにゃく翻訳さんという方を見つけてから好きになった曲も多い。『Melocoton』とか。
あと、半分アニソンのカテゴリに入る気もするけど、チェリー・ボムのイメソン『Pop!』とか。
それでも洋楽ばかり聴いているわけではないし、「洋楽聴く」っつったらカッコつけてると思われるかもしれない。

(洋楽というカテゴリとは違う気もするが、『カチューシャ』とか『モロトフは駄目だ』とかも一回聴いたら耳から離れない)

昔の邦楽も聴く。『異邦人』とか『順子』とか『ウェディング・ベル』とか『黒百合の歌』とか。いうて昔でもないけどゆずの『夏色』も好きだなぁ。
けどYouTubeで昔の曲聴くとさ、大体コメント欄に「最近の曲とは違って素敵!」みたいなだるくてカビくせぇコメントがあるんだよな〜〜(偏見) あるものを褒めるために他のものを腐すなよ、そういうとこやぞ。
だから「懐メロが好き」とかもあまり言わない。そういうカビ野郎の同類だと思われたくないし。

ボーカロイドも好きだ。『ベベル』とか『合い鳴き』とか、『私、案山子。』とか、『暮しガスメータ』とか、『おくすりのんでねよう』とか、『チャンバラジョニー』とか、『少女レイ』とか、『キャプテン・クックと水葬』とか、『ゾンビゾンビジェネレーション』とか、『週間少年バイバイ』とか、『帝国少女』とか、『ハングリー・ニコル』とか『トラフィック・ジャム』とか、『お前がメシにありつくなど56876423年早いわ』とか、『孤独の宗教』とか……(早口)
とはいえ「ボカロが好き」っていうのも難しくないか? メジャー曲だと「ニワカのオタクくん」だし、マイナー曲だと「ガチのオタクくん」じゃん……(自意識)

電波曲や闇の深い曲も好きだ。『ストーカーの唄』とか『るるちゃんの自殺配信』とか。表立って好きだとは言いづらいが。

そして、どういうカテゴリに入るのか分からないが「カラオケで歌っておけば雑に盛り上がる」系の曲も好きだ。『女々しくて』とか『MUSIC VIDEO』とか『お願いマッスル』とか『HOT LIMIT』とか。いつもお世話になっております。

ここまでつらつらと話してきたが、とにかく好きな音楽に統一性がないために、何が好きなのか聞かれても困る。
そして、自意識過剰であるがゆえに、何を好きだというのもためらわれてしまう。一番の難敵は自意識である。

というかそもそも、個人の趣味があまりにも多様になった現代において、軽めの世間話として「好きな音楽」の話をすること自体が無茶なのではないかと思う。
音楽に限らず話が盛り上がるための条件は「話を振る側も振られる側も、それを知っている/関心がある」ことだと思うんだけど、現代でこれを満たすの、なかなか難しくないか?

「聞かれたから答えたものの、相手がそれを知らず、興味もなさそうで、微妙な空気になる」のが嫌なんだよ私は。
その困ったような「へ〜……」をやめてくれと思うし、自分が相手の好きなものに対してそういう反応をしてしまうのも嫌で、人に「好きなもの」の話を振れずにいる。
そして「好きなもの」の話ができなければ、会話のフックのほとんどが封じられる。

つまるところ、私は趣味が一致するか分からない人との軽めの雑談が苦手で、気軽に話を振れなくて、いつも一人で黙っているわけだ。立派なコミュ障である。

あなたのコミュ障はどこから?

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