見出し画像

Googleが視覚障害者を補助するApp "Lookout"発表

米国時間5月8日にGoogleが発表した「ルックアウト」は視覚障害者の日常を手助けする新しいAndroid用アプリだ。アプリをインストールした端末を身に着けておき、必要に応じでその端末を叩くと反応して、どこの位置に何があるかを教えてくれる。

「ルックアウト」のリリースは2018年内に米国向け「Google Play」ストアで提供されるとのこと。次の動画はマイヤ・スコットさんという方がそのアプリを利用しているシーンが紹介されている。

マイヤさんは映画や美術の講師。生まれつき視覚障害がある。アート作品を作成中、ハサミの位置がわからなくなったマイヤさんが、首からぶら下げた端末をコンコンと叩く。するとルックアウトが「ハサミは12時の方向です」と教えてくれた。

視覚障害の症状はその人によりけり

厚生労働省の平成18年身体障害児・者実態調査によると、日本の視覚障がい者数は約32万人。またWHOの調査では世界では2億3千3百万人の視覚障害者がいると言われている。(なおWHOの視覚障害の定義と日本の身体障害者手帳(視覚障害)の対象者の定義は異なっている。)

視覚障がい者の中で障害の程度が最も重い1級の人の数は10万5千人いるが、1級の場合でも全く見えていないというわけではない。身体障害者手帳(視覚障害)の定義では「両眼の視力の和が0.01以下のもの」となっている。身体障害者手帳には1級から6級まであるが、「弱視(ロービジョン)」(目が不自由だけれどもある程度は見ることのできる)のかたの場合は身体障害者手帳の交付が受けられない程度の視覚障害であることも少なくない。

隣に座っている人が必ずしも自分と同じように色や形をとらえているとは限らない。

視覚障害の症状は人さまざまで、大きく分けると見る力に障害のある「視力障害」と見える範囲に障害がある「視野障害」となっている。視野障害だと視野が狭い、視野の一部が欠けている、視野の一部が見えないといったものがある。例えば高齢者に多い緑内障も視野障害だ。視神経が障害によって視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする。最初は小さな盲点だったものが徐々にその範囲が広がってくる。(参照元: ファイザー製薬「緑内障ってどんな病気?」)

「ルックアウト」は自立を促すアプリ

「ルックアウト」の話に戻そう。これまでであれば、誰かの手助けがなければ物の位置が確認できなかった。そもそも誰かがそこに立っているのもわからなかったものが、「ルックアウト」を使って他の人の手助けを待つことなく次の行動に移せるようになることは、視覚障害がある人にとっては大きな意義がある。

アプリはインターネット接続なしで使用できるので、室内外に限らず利用できる。また行動データから機械学習をしていくそうだ。

調度品や文字情報はその国の文化や生活環境によって異なる。物によっては当初は判定が難しいかも知れないが、利用者が意識することなく「ルックアウト」が自分で勉強していってくれるのであれば拠り所としての価値は上がり続けるだろう。

(了)

その他参考記事:
  BBC 視覚障害者の数、世界で「2050年までに3倍」に
  関西盲導犬協会 視覚障害とは

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド ネルソン ©moya

最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。