見出し画像

横書き縦書きとアクセシビリティ

最近、縦書きの文章に触れたのはいつでしょうか。

自分はと思い起こすと、今読んでいる図書館で借りた文芸書は縦書きですし、Noteでや先日コミティアで頂いた作品は縦書きが多いですが、仕事で読む資料も大学のテキストも皆横書き。こうしてウェブサイト上で文章を読むのも横書きで、仕事柄縦書きの文章を読まないまま一日が過ぎるということも珍しくありません。
人によっては縦書きは読みにくいと感じるかたもおいでではないでしょうか。

文部科学省が行っている調査「国語に関する世論調査」の最新(平成27年度調査)、『書き言葉のコミュニケーション』の章の中で

国や自治体がお知らせなどの文章を書く際に,配慮してほしいことは何か

という設問があります。(3つまで選択肢から選ぶ)

(2)表記や形式などについて、一番多かった回答は「読みやすくなるよう読点(「,」や「、」)を用いる」が57.9%となっています。次いで「話題が変わるごとに段落を設ける」(41.5%)、「一文を短くする」(40.1%)がそれぞれ4割強となっているという順です。

回答には「横書きにする」と「縦書きにする」がそれぞれ含まれています。果たして回答はというと前者の横書きにするは15.9%でしたが、縦書きにするは4.1%でした。

今ちょうど調査の一環で国や自治体がお知らせを探しては見ていますが、官公庁の文書も「横書き」が殆どです。たまたま抽出したデータがそうだったのかも知れません。ですが、霞が関で数年働いていた時も法律をのぞき、日常は「横書き」ばかりでした。

縦書き文書の作成をWordでするとしたら、[レイアウト]から[文字列の方向]で、[垂直方向に右から左へ](もしくは逆)を選択しますが、この時に注意しなくてはならないのは半角で入力した算用数字やアルファベット部分だけが「横向き」になってしまいます。

これを直すのは、「縦中横」機能を使います。リボンから「ホーム」タブをクリックし、「段落」グループの「拡張書式」をクリックすると、一覧が表示されます。その中から「縦中横」をクリックして適用することができます。

この「縦中横」機能は古いWordや他社の文書作成ソフトについていない場合があります。例えば、Kingsoftのwriterには縦中横がなく、公式のサポートページを見ると

申し訳ございませんが、KINGSOFT Writerには縦中横の機能はございません。縦書きの場合は、数字などは全角にてご入力ください。

となっていました。

半角英数のまま横向きのものを縦にするとなると、該当部分にテキストボックスを入れてその中に数字などを入力し、90度回転させる方法があります。がアクセシビリティ上はおススメできません。なぜならテキストボックスをあとから入れると、スクリーンリーダーで読み上げた時に読まれる順序に乱れが生じることがあるからです。特に文章内の一部にテキストボックスを入れると、見た目では前後に続いて書かれているように見えても、読み上げてみると、そこだけすっぽり抜けてしまって、テキストボックスの部分は別に読まれるようになることが多々あります。

回避するにはKINGSOFT推奨の全角で入れるか、または縦書きの文書伝統的な書き方に倣って漢数字にするかといったところです。
余談ですが縦書きの代表格・新聞については各社「ハンドブック」内に書き方を明記しています。その比較も含めて、NHKメディア編集部

七転八倒は7 転 8 倒か?平成 20 年度「放送における数字表現」に関する調査から

で日本語での数字の書き方について言及していますので、ご興味のあるかたはぜひ。

と言うわけで、見た目に拘って一時的な小手先対応をすると、別の部分に波及していることがあるので、特に縦書き文書の半角英数字には気をつけねばという自戒を込めた今日のnoteでした。(昔作った文書でやらかしている可能性があるので‥)

本日はこれにて。

参考

平成 28 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

(了)

ヘッダー写真 撮影地 ニュージーランド オークランド ©moya

最後までご覧いただきありがとうございます! 現在放送大学でPDFのアクセシビリティを卒業研究中。noteはそのメモを兼ねてます。ヘッダー写真はnzで私が撮影しました。 【ご寄付のお願い】有料noteの売上やサポートはnzクライストチャーチ地震の復興支援に使わせて頂いております。