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アメリカ ルート66を巡る旅 06 カンザス州

今回はカンザス州を走るルート66についてです。

カンザス州の旧ルート66

ルート66を東から西にトレースする旅、ミズーリ州を終え、遂に3つ目の州に入ります。といってもルート66はカンザス州の南東部をちょっとだけ掠っているだけなのです。30分弱で通り過ぎてしまいます。「オズの魔法使い」の景色が広がるカンザス州に行くわけでもなく大都市のカンザス・シティを通るわけでもありません。アメリカの田舎の風景を見ていると、すぐに次のオクラホマ州に入ってしまいます。

今回紹介するのはミズーリ州とカンザス州の州境にあるGalenaからカンザス州とオクラホマ州の州境までの19km、休まず走ると20分弱の短い区間です。

では、前回の最後に立ち寄ったミズーリ州ジョップリンの街を出発しましょう。
このあたりにはとても細かく丁寧にルート66の表示が出ていますが、道がとにかく複雑です。右に曲がり左に曲がりと繰り返し、かなりの時間を費やしてしまいます。しかし州間高速からかなり離れたこの旧道には見所が満載です。昔ながらの景色の残る名もない小さな街、かつてあった古い橋、既に営業をやめてしまったガソリンスタンドなどが次々と現れます。そんなのんびりとした田舎道を走っているとカンザス州に入ります。
ルート66に取って代わった州間高速44号線は、ミズーリ州からオクラホマ州に直接入ってしまうのでカンザス州は通りません。高速を使って時間を節約する方は、高速を降りカンザス州に寄ることを忘れないでください。カンザス州の住人は、「ちょっとだけ自分の州を通るルート66」をとても誇りに思っているようで、今でも大切に歴史遺産を扱っているのです。

コラム:カンザス州と竜巻*
カンザス州と聞いて皆さんは何を想像しますか?私は「オズの魔法使い」しか思いつきません。子供の頃テレビで見た「オズの魔法使い」は強烈に私の印象に残り、以後自分の人生に影響を与えるほどでした。その映画の舞台がカンザスでした。実は「スーパーマン」の故郷スモールビルもカンザス州にあるのだそうです。実際に行ってみると、とにかく何もない州です。アメリカのほぼ真ん中に位置していてグレートプレーンズと呼ばれる大平原地帯にあります。平らな土地がぐるっと360度続いています。唯一大きな街はウィチタという街です。ここには航空産業がありますが、そのほかの地区は牧畜が主要産業です。これだけ平らだと竜巻は起こりやすく、夏になると竜巻警報が良く出るそうです。竜巻による被害は年々増えているそうで、このあたりの住人の一番の悩みになっています。旅をする際も竜巻には注意してください。ラジオをつけていると警報を教えてくれます。最近はスマートフォンにも通知が届きます。もし竜巻警報が出たら近くのシェルターに逃げてください。道を走っていると竜巻シェルターの表示があるので、場所をチェックしておくのが安全です。

<Eisler Bros. Grocery Store>
ルート66という表示を辿りカンザス州に入ると、はじめにあるのがGalenaという小さな街です。そしてしばらく走ると次の町、Rivertonが見えてきます。ここにはルート66で有名な雑貨屋さんがあります。イリノイ州で立ちよったBill Shea Gas Standのようにルート66を旅する観光客向けに営業しているお土産物店です。ルート66のグッズや飲み物などを売っています。古い建物は哀愁が漂い、古き良きアメリカを感じられる建物です。
ルート66グッズを購入したりソーダを買ったりできるので、是非立ち寄ってみてください。

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<Rainbow Bridge>
リバートンと次のバクスター・スプリングスとの間にはレインボーブリッジという名の橋が残っています。撮影ポイントです。普通に走ると見逃してしまいますが、昔ここを旅人が渡っていったのでしょう。今では使われることがほとんどなくなった古い橋にはどこか寂しさが感じられました。

<Murphy's CAFE ON THE ROUTE>
まるで西部劇の街のようなBaxter Springs。ルート66は、この街のメインストリートになります。メインストリートの両側にはとても古い2階建ての建物が100mくらい並んでいます。昔は、ここでガンマンの撃ち合いが行われていたのだろうと想像できます。
そんな建物のひとつにこのカフェがあります。街の住人もよく利用しているようで繁盛していました。メニューはアメリカのどこにでもあるような内容ですが、缶詰などを使わずここで丁寧に調理されています。このカフェ、店のロゴもかっこいいのですが、内装もがんばっています。この旅を通して感じたことですが、このようなとても田舎の町なのに。洒落たレストランが点在しているのです。日本で田舎に行くと洒落たレストランはオープンしても直ぐに潰れてしまいます。アメリカ人は、こういうがんばっている店を大切にして買い支えているようです。田舎街にある洒落たカフェに出会うと、アメリカ中西部の心の広さを感じる瞬間です。

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*コラム:冬のルート66
私は12月にもルート66を旅をした経験がありますので、ここで冬のアメリカ横断について記しておきます。11月〜3月頃まではシカゴからアリゾナ州にかけては雪が降る可能性があります。特にニューメキシコからアリゾナにかけては標高の高い大地を走るので注意が必要です。レンタカーは4WDを利用してください。保険はフルカバーが必須です。私は途中立ち往生したときも直ぐに助けに来てくれるサービスにも入り安全対策は取りましたが、やはり道中は危険が沢山ありました。もし降雪時期にルート66を旅する計画をお持ちの方は、なるべく避けたほうが良いというのが経験者からのメッセージです。ただ、雪の降っている中西部の風景はなんとも美しく、途中車を止めて荒野に降る雪を眺めてしまったのも事実です。

バクスタースプリングスを抜けるとそこはオクラホマ州です。私にはオクラホマ州に対するイメージは殆どありません。ひとつだけ映画「愛と青春の旅立ち」の中で、オクラホマ出身の新兵に対し上官が「オクラホマには牛とゲイしかいない!」と言っていたことくらいしか馴染みのない州です。本当にオクラホマには牛とゲイしかいないのか?それは勿論間違いです。オクラホマは予想に反しとても豊かな土地でした。

次回はオクラホマ州東部をお届けします。ここから先は心に残る景色と古き良きアメリカの風景がたくさん登場します。

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