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後悔しない!新型コロナワクチン、納得接種への道 其の3【若者も受けた方がいい?】

 紙面に掲載しきれなかった旭川市からのインタビュー全編を、個人的に公開します!

 ワクチン接種は任意ですが、皆さんの意思に任せるには、皆さんが納得をして接種を受ける・受けないの判断のための正しい情報は残念ながら少なすぎます。薬剤師の視点から新型コロナウイルスワクチンを紐解きます!


 納得接種への道 其の3は【若者も受けた方がいい?】


ーーー旭川って今どんな感じ?

 旭川市では、65歳以上の高齢者接種率が約90%となりました。これに伴って、日々の新規陽性者の報告は若年層に大きく偏っています。ウイルス自体の変異による感染力の変化も大きな理由になりますが、ワクチン未接種の方が活動を活発にすることによって感染拡大に大きく貢献してしまいます。

 若者が悪いと言いたいわけではありません。

 ウイルスが増えるのに活発に動き回ることができる、体力のある若者はいわば「最良のパートナー」となります。良いパートナーがいれば、しっかりと増え拡がっていきます。一人ひとりが予防接種をしっかりと受けて、「我々が住みよく、ウイルスにとって居心地の悪い街」を目指しましょう。


ーーー若年層の接種は必要?

 現在日本国内で使用されているワクチンのうち、旭川市で使用しているmRNAワクチンはファイザー社製の「コミナティ筋注」です。

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 コミナティは12~15歳までの方もワクチン接種の対象です。対象年齢の子どもを持つ親御さんの中には、自分の接種は即決できても、子どもの接種には慎重にという方もいるのではないでしょうか。

 年齢が若いほど実際にコロナに罹った場合の重症化率は低いといわれています。しかし、重症化しないから感染しても大丈夫というわけではありません。

 若者でも重症化して死に至るケースもないわけではありません。またたとえ重症化しなくとも、突然感染すれば学校生活で楽しい行事や大切な試験のスケジュールに大きな影響が出ます。

 そしてその影響は、自分の大切な家族、友達や友達のご家族にまで広がっていきます。

 一方で、予防接種による副反応は前もってスケジュールが立てられ、準備が出来ます。若い世代の接種後の方が副反応の発生確率が高いとされています。

 これは、正常な免疫反応の起こりやすさが関係しているのではないかといわれています。高齢者よりも若年層の方が、身体機能が高く、リアクションが大きいという考え方です。成人と同様に一般的に起こりやすい副反応である発熱やだるさ、筋肉痛などの症状の経過を観察してください。

 解熱鎮痛剤の使用も可能です。

 ただし、成人と同じ量で服用してよいかは、薬によって変化します。用量に不安のある方は、購入時に薬剤師や登録販売者にご相談ください。


ーーー副反応が起こらない方法はないんでしょうか?


 ワクチンも薬です。そして、副作用・副反応のない薬はひとつもありません。薬の副作用は、主作用(人間が期待する)の裏返しです。

 花粉症の方や鼻炎持ちの方はよくわかるかと思いますが、多くの抗アレルギー薬は服用すると眠くなります。これは抗アレルギー薬の副作用による眠気です。

 服用する方にとって期待する「鼻水を止める」という作用と、期待しない「眠くなる」という作用のどちらも作用ですが、期待しないという点で「眠くなる」作用は副作用と呼ばれます。

 市販の睡眠改善薬は、医療用の睡眠薬の成分を販売することは出来ませんから、この抗アレルギー薬の副作用を主作用として利用しています。


ーーーmRNAワクチンの副反応にはどんなものがありますか?


~一般的な反応~

 新型コロナウイルスワクチンの副反応として代表的な、発熱やだるさはワクチンが体内で正常な免疫反応(期待する反応)を起こした結果であり、通常は1~3日程度で収まっていきます。

 また、症状が強い場合には解熱鎮痛剤を使用することも推奨されているため、過度に心配する必要はありません。

 ただし、ワクチンに対する免疫反応で体が頑張っている間は、他の病原体への免疫が手薄になる可能性が示唆されています。普段は抵抗できるような膀胱炎やヘルペスウイルスによる帯状疱疹など、軽度な感染症も症状が重くなりやすく、ワクチンの副反応と同じように発熱やだるさなどを起こす場合があります。

 この場合は、解熱鎮痛剤や時間経過で改善していかないことも多いと思います。接種の際はしっかりと体調を整えるようにしましょう。

 万が一、発熱や痛み、だるさ以外の接種後の症状(ぶつぶつが出来る、息苦しい、胸が痛いなど)が気になる・続く場合には、医療従事者や保健所にご相談いただき、受診を検討してください。


~アレルギー・アナフィラキシー反応~

 また、ワクチン自体に含まれる成分にアレルギー反応が出る方も少なからずいます。日本で特例承認されているmRNAワクチン2種に含まれる「ポリエチレングリコール(PEG)」と呼ばれる物質は、化粧品や医薬品に使用されていますが、これにアレルギーをお持ちの方は、接種が出来ません。

 また、PEG以外の食物や医薬品へのアレルギー、アナフィラキシー経験のある方は、十分に注意して接種していただく必要があります。

 旭川市の集団接種会場では、薬剤師が過去のアレルギー歴を丁寧に聴き取り、注意が必要と思われる方へ30分の経過観察(通常は15分)をお願いしています。

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 アレルギーやアナフィラキシーは接種後の短い時間に現れることが多いため、経過観察時間を少し長めにとってもらっています。

 過度の緊張感でも体調不良を起こすことがあるので、経過観察時間をリラックスして過ごせるよう、静かに楽しめる読み物や動画などをご用意いただければと思います。安全な接種のためにご協力をお願いいたします。

 PEGアレルギーのある方は、現状ではmRNAワクチンの接種を受けることが出来ません。一方で、アストラゼネカ社製のバキスゼブリア筋注にはPEGが含まれておらず、接種を受けることが可能です。PEGアレルギーがあるとはっきりしている方は、こちらの接種をお勧めします。

 PEGは多くの医薬品や化粧品に含まれています。過去にアレルギーを起こしたことがあるが、PEGアレルギーかどうかわからない方は、添加物などでも調べることが出来ますので、接種の前に薬局の薬剤師や北海道薬剤師会が開設している新型コロナワクチン相談コールセンター(0120-306-154:平日土日祝日 9:00-17:30)へご相談ください。


 ひとつひとつ、想定されるリスクを確認して、可能な限り安全に接種を進められるようご協力をよろしくお願いいたします。


其の4】へつづく

 

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