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『関係の終末』は「あの地獄」の始まりに過ぎなかったのか⑤-1

ヨンキ作のWebコミック『他人は地獄だ』とその関連作である『関係の終末』。今回は、2作品を横断する形で深ぼり&考察の第5弾-1です!今回は、『関係の終末』のクライマックスとも言える、惨劇の夜のユイとマサル、その顛末について取り上げていきたいと思います。

ネタバレがありますので、作品を純粋に楽しみたいという方は後ほどお会いしましょう!


マサルとユイの関係性の変化

旅行を楽しむ幸せなカップルのはずが…

ユイの手配してくれた民宿での旅行の間に、マサルはプロポーズしようと心に決めていました。ユイも久しぶりにマサルと旅行ができるというので、はしゃいでいる様子が伝わってきます。

しかし、友達がおすすめしていたはずの民宿には不気味な雰囲気が漂い、従業員は態度が悪いヤツばかり。マサルとユイは二人とも感情をすぐに言動に表してしまうところがあり、常に不穏な空気が漂い読者はヒヤヒヤさせられれっぱなしです。

それでもお互いにこの旅行を楽しみたいという思いは同じなので、なんとか前向きにがんばってしまうんですよねぇ。

いや、帰ろうよ…おかしいなって思った時点でさぁ。


いじめグループの連中を怪しむユイ

タツヤたちいじめグループの連中に気づかれることをあんなに恐れていたマサルなのに、自ら「サル(いじめグループはマサルをそう呼んでいる)」であることをアピールしてしまうという奇妙な行動に出ます。

やがてグループの一人が気づいて、懐かしそうに語りかけた時、ユイは怪訝そうな表情で友達なのかと尋ねました。この頃から連中の不穏な空気を感じ取り、マサルに何度も尋ねますが、友達だから気にするなと取り合ってもらえません。

その後のタツヤたちとのバーベキュー大会でも、連中の失礼な物言いに苛立ちを隠せなくなってくるユイ。マサルはマサルで、そんなユイを無視して自分の変化や成長を見せつけるかのように傲慢な態度を連中に取ってしまうのです。

ユイの不安は的中する

ついにマサルの態度にキレたタツヤは、顔面を執拗に殴り飛ばします。友達同士の口論の末の殴り合いなどとは違うと悟ったユイは、マサルを連れて自室へと引き上げました。この時、ユイはマサルとタツヤたちとの哀しい関係に気づくのです。

民宿へと戻って来たグループの連中は、当然マサルを襲います。覚醒したハシラが加わると、そこはもう地獄絵図。
かわいそうにユイはあまりの衝撃に気を失ってしまうのでした。

徐々にユイのことが頭から消えていくマサル

マサルの触れられたくない過去を知ってしまったユイは、連中から彼を守ろうとします。しかし、マサルはすっかり過去に囚われてしまい、あの頃の自分に乗り移られたような状態になってしまいます。

ユイが止めても泣いてもお構いなしで連中の挑発に乗り、力づくで忌まわしい「関係」を終わらせようと躍起になってしまうのです。

この旅行でプロポーズをして将来ずっと一緒に居たいと伝えるつもりだったというのに…。

惨劇の夜の顛末①

ユイとハシラたち

マサル&ハシラVSタツヤたちグループの壮絶なバトルを目の当たりにして、気絶してしまっていたユイでしたが、タツヤにとどめを刺そうというその時に、マサルの前に現れます。

タツヤをヤらなければどうしようもない、というようなことを言って震えるマサルを抱きしめ、優しくたしなめ諭しました。マサルはユイの深い愛情と強さに目が覚めかけ、自分の愚かさを後悔し、自分を責めますがハシラがそれを見逃すはずはありません。

表情の無い大きな瞳でずっとユイのことを見ているハシラ。マサルはハシラに、ユイのことだけは助けてほしいと必死で懇願します。

それが気に食わなかったのか、ハシラはユイを指さし、一言「やれ!」と言い放ったのでした…

・ハシラにとってのユイって??

ハシラが現れてすぐくらいにユイは気絶してしまったので、ハシラはこの時初めてユイという女性をハッキリと認識したのかもしれません。ユイがマサルを抱きしめ説得している時も密かな怒りやイラ立ちをハシラから感じましたが、マサルの言葉で怒りが決定的になったように思えます。

ハシラにとってユイとは、大切な作品にキズを付ける邪魔な存在、といった感じなのでしょうか。いずれにせよ、このシーンでユイちゃんはハシラさんに完全に敵認定されてしまいましたねー…

ユイの大切さに改めて気づいたマサル

自分のトラウマに翻弄されていたマサルは、何よりも守らなければいけない存在であるユイのことをないがしろにしていることを、自分分かっていない様子でした。

ハシラのことを自分が召喚した悪魔だと言ったり、タツヤたちへの復讐を嬉々として進めていきます。ユイが気絶してもお構いなしで、自分の過去との決着に夢中になってしまったマサルでしたが、涙を流しながら自分との将来を望むユイを見て、我に返るのです。

血まみれのマサルを抱きしめ、二人で帰ろう、結婚して子供を産もう、というようなことをユイは言いました。自分と同じ気持ちでいてくれたと知ったマサルは、これまでの自分の言動を恥じ、ハシラにユイの解放を願い出ました。

皮肉にもそれでハシラのスイッチが入っちゃうんですけどね…

ユイを守るためにマサルは…

ユイを敵認定してしまったハシラとどうしてもユイだけは守りたいマサル。
さらにややこしいことにその場にはおばちゃんとマルもいます。

最初ハシラを説得していたマサルでしたが、さらに怒りを加速させてしまったことに気づくと、力づくで押さえ込もうとします。

これ、不思議なんですけど、タツヤとハシラが対峙した時同じように攻撃してくるハシラを押さえ込んでたんですが、その時はタツヤの鼻をかみちぎってました。しかし、マサルの時は抵抗する様子を見せるだけ。

やっぱりハシラさん、マサルに対する特別な想いがあるんですかね…

二人がもみ合っていると、おばちゃんとマルが逃げようとするユイに襲いかかろうとしますが、それをマサルが止めます。

その時ハシラからは目も身体も離しているわけですが、ハシラは微動だにしない…それどころか、おばちゃんとマルにユイのことを捕まえてこいと言い、自分の前から遠ざけようとします。

マサルの変化やユイの存在に気づき、マサルに失望したハシラは

「おじさんは不良品だ。」と言い放ったのでした…

『関係の終末』は「あの地獄」の始まりに過ぎなかったのか⑤-2では、惨劇の夜の後の登場人物たちの行く末と、『他人は地獄だ』への流れについて考察していきたいと思います!





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