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『他人は地獄だ』ネタバレ&あらすじ、考察

『他人は地獄だ』のあらすじ


人気の韓国Webコミックの『他人は地獄だ』(作・ヨンキ)は、就職を機に上京した青年・ユウが、下宿先の奇妙な人たちに翻弄され憔悴していく様子が独特の描写で描かれています。

一見、ほがらかで面倒見がよさそうな大家のおばちゃんは、厚かましくてデリカシーがないし、隣室のハヤシ・ハシラ(203号)は、何かとユウに近づいてきますが、何とも言えない不気味で不穏な空気が漂っています。

他にも、部屋の扉の付近にたって、別の部屋の住人の事を監視している204号室の男、落ち着きがなく何を考えているのか分からないマル(206号室)など、この下宿の人間はどれも曲者ぞろいです。

最初は自分だけの自由な空間ができたことをうれしく思っていたユウでしたが、下宿人たちの奇妙な行動に恐怖を抱くようになり、身の危険さえも感じるようになります。

仕事を紹介してくれた先輩に彼らのことを相談してみても、被害妄想だ、ストレスだ、と全く取り合ってもらえません。職場での人間関係も仕事もうまくいかないユウは、次第に追い詰められていくのでした…

ハヤシ・ハシラのユウに対する奇妙な感情


ユウが下宿にやってきた時から、ハヤシ・ハシラは積極的に声をかけ、何かと気に掛けます。身の上話をしたり、ビールやつまみのおすそ分けをしたりと、一見親切でフレンドリーな人のようにも見えなくはありません。

しかし、独特の異様な雰囲気と、大きな表情のない瞳は、ユウの心をいつも不安にさせます。
ユウが最初にハシラに不満をぶつけた時、「僕はあなたのことを気に入っているから、仲良くやりましょう」というような事を言い、たしなめました。

これだけならユウの妄想かもしれませんが、ハシラのユウへの執着とも言える言動がエスカレートしていきます。

帰り道、いつの間にか後ろに立っていたり、壁越しに何かヒソヒソと話していたり(独り言かどうかは分からない)…

ユウの回りの人間を押さえ始める

【ジュンの場合】

しばらくして、下宿先に学生のジュンという子が入りました。話が通じる唯一の人間だと思ったユウは、毎日彼と行動を共にします。

それを見逃さないハシラは、ジュンにもお肉などのおすそ分けをし、ユウの事についてあれこれ探りを入れます。

自分はユウと仲良くしたいが、いつもイライラしているようだと嘆くと、ジュンも少しそういうところは感じると話し、ジュンを丸め込むことに成功したのです。

すっかりハシラになついたジュン。その当時、下宿を出ることを決意し、新しい宿探しや外泊を繰り返していたユウですが、ジュンのことが心配になり(説得もあり)、一度戻ることにします。

ハシラはユウの顔を見て「久しぶりですね…」と嬉しそうにつぶやくのでした。

【カン先輩の場合】

ユウの地元の先輩であり、仕事を紹介してくれたカン先輩(起業をし、社長を務めている)のことも、ハシラは見逃しません。

先輩と良く仕事終わりなどに飲みに行っていたユウですが、徐々にハシラや下宿人たちにおびえるようになり、ついには先輩と食事中にハシラの幻覚を見るようになってしまいます。

しかし、その後実際に先輩とユウの彼女のメグと飲んでいた時、ハシラがあらわれユウたちに話しかけて来たのです。その時の先輩の言動が気に食わなかったのか、ハシラは先輩にも目を付けます。

以前の幻覚は、実は毎回ハシラがユウの後を付けていたんじゃないかと考えるとコワいですよね…

ユウの事をハニーと呼ぶ

対面では、ユウの事を「ユウさん」や「202号さん」と呼んでいますが、壁越しに「ハニー…」とつぶやいたり、一人の時に呼び掛けています。

ハヤシ・ハシラがユウに執着するのはなぜなのか


これは、私の憶測というか、考察です。

ハシラは、ユウの中に自分と同じ凶暴性や残忍性、そして孤独を見出していたのではないのかなぁと。
自分の異常性を認識して、それらを抱えたまま、他者と関わりあうことは難しく葛藤や孤独だけが蓄積していく…

でもいつの間にか「快楽」を覚え始め(楽しまないと、というようなことをハシラは言っている)、ユウの中に垣間見える自分と共鳴する「何か」を求めようとしたんじゃないかと思うのです。

「あなたは他の人とは違う」と発したその後に「あなたは私と同じだ」と言うハシラの言葉が悲しい…

ハヤシ・ハシラの謎行動を解明する


全ての言動が謎と言っても過言ではないハシラですが、その中でも特に不可解で思わず困惑させられてしまう行動を解明していきたいと思います。

タバコとツバの謎

ユウが初めて出勤する時、朝玄関前で、タバコを吸っているハシラとあいさつを交わしました。和やかに話していましたが、ユウは違和感を覚えます。そそくさと立ち去るユウの背後から、ツバを吐く音が…

数日後、帰り道で一緒になったハシラとユウ(一緒になったというよりは、いつの間にか背後にいた)。できるだけ距離を置きたいユウは、タバコを吸いたい、電話をしたいといい、ハシラを先に帰らせようとします。

待っていると言って聞かないハシラを見かねて、「タバコ持ってないんですか?」とユウが尋ねると「僕は吸いません」と…??この間の朝は??

もしかして…

ユウはいつも屋上でタバコを吸っており、その時にいつもツバを吐く癖がありました。先輩と初めて飲んで帰って来た日も家の前でタバコを吸いながらツバを吐いています。

ハシラはそれをどこからか見ていて、マネしているのかなぁと私は思っています。何度もユウの事を気に入っていると言い、終いには「あなたは私と同じ」とまで言い出すハシラですから、考えられなくもないでしょう。

帰り道で「吸わない」と言ったのは、ユウが露骨に自分を避けているのにムッとしたのからなのかな、と見ています。


人の怖さがじわじわと迫ってくる作品、『他人は地獄だ』
『関係の終末』、『悪夢の形相』と三部作となっているようです。
ぜひ、そちらも合わせて読んでみてください!

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