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銀と金と千奇万講

黒い服に銀の髪のお兄さんと、黒いドレスに金の髪のお姉さん。
山の中で迷子になって、古いお社で怯えてたら、「いつまでも帰ってこないから、街で騒ぎになってましたよ」って迎えに来てくれました。
真っ暗な夜の真っ黒な二人なのに、不思議と明るく見えました。

(少年、とある二人組について)
前、うちのキャラバンで二人連れを送ったことがある。ナリから振舞いからご立派な、俺らなんぞに頼らなくても優雅に砂漠越えできそうな、金髪と銀髪の男女だ。
道中、サンドウルフに襲われたときは兄ちゃんも戦ってくれてな。強ぇ男前だった!
……けど、おっかねぇのはメイドの姉ちゃんだ。狼どもの脚を、前の男連中を奇麗に避けて、投げナイフで射貫いてんだよ。カミさんたちやガキどもで守ってたはずなのに、気が付いたらうちの連中より一歩前に出てたんだと。そのくせ、全部終わったら兄ちゃんに微笑んで、優しく手ぇ握ったりしてるんだ。無事でよかった、って感じに。
いやぁ、女ってのは怖ぇな?

(金駱駝の当主、久々の街で酒を飲みつつ)
街で困ってた時に、助けてくれた男の子がいたの。私も街には慣れてたつもりなんだけど、あんなにスマートに案内されたら、悪くないわね。紳士的だったし、それに、酔っ払いに絡まれたときとか、凄かったの。相手が手を出してきた途端、仕込み杖であっという間に三人倒してたの。ほんとよ?
あんなイケメンだったら、種族の違いも気にしないんだけど。でも、あんな大事にしてる女の子――儚げな『お嬢様』がいるんじゃ、こっちまでお持ち帰りは出来ないわ。いくら私でもね。あー、惜しいことしたなぁ。
でも、薬屋の名刺は渡しといたから! チャンスはある!

(森の里の女性、行きつけの植物市場にて)
あの二人を名指しでスか?
物探し、人探し、調査、実行。……それとも、もっと厄介な話?
マ、なんでも熟しましょうケド、高く付きますよ?

(異能者協同組合職員、あるコンビを指名した客に)

続く。

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