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#16 さるうさぎが生きる道
決断に悩む2人
相変わらず、外はざんざんぶりの雨で、辺りはみんなしんとしていました。
「あなたは、うさぎ族の血が半分流れているから、うさぎ族になる資格は十分あると思う。もちろん、私もよ。でも猿希さんは…。」
とお母さんが言うと、沙留卯は(さるうさ)は引き継いで、
「お父さんは、全部猿の血。だから、うさぎ族にはなれない。」
と言った。
「もし、なれたとしても、猿希さんは大変なほどに虐められて、おまけに、今よりも猿達に恨みを持たれると思うよ。」
とお母さんは言った。
沙留卯は悩んでいた。お母さんとお父さんは愛し合っている。つまり、二人(1匹と1羽)は一心なのである。もし、お母さんだけだったら、すぐYESと答えるし、お父さんだけだったら、もちろんNOと答える。お母さんとお父さんが一心同体だったら、二人(1匹と1羽)が出会っていなかったら、すぐ答えられるのに、などと思っていた。そう、沙留卯は、お母さんが考えていたよりも、深く悩んでいるのであった。
そして、そのお母さんは、あることを決心していた。それは、天地とお母さんしか分からない、明日までは謎の決心であった。
「山中さん、開けてください。」
聞き慣れない動物の声がした。
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