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組織におけるデザイナーの行動と成果をモデル化する

デザイナーの役割定義の難しさ

デザイナーの役割や期待される貢献は、会社や個人によって大きく違います。これは、デザイナー以外の職種から見ても、デザイナー同士で見ても同じです。さらに、デザイナー自身も自分の貢献をどう表現すればいいか悩むことがあります。

デザイナーの役割をどこまで明確に決めるかは一つの選択です。そして、デザイナーの貢献を現状ASIS / TOBEとしてどう解するかは、デザイン組織を運営する上で重要なテーマです。

行動と成果のモデル

タイミーのプロダクトデザイングループでは、デザイナーの「行動」と「成果」に焦点をあてたモデルをつくっています。

このモデルでは、行動と成果を分けて考えています。例えば、「チームの顧客理解を深めるためにリサーチをする」という行動があります。その直接的な成果は「チームの顧客理解が深まる」です。
しかし、そのプロセスを通じて得られる副次的な成果として「一緒に働く経験でチームワークが良くなる」や「周りのメンバーがリサーチの方法に慣れる」といったものもあります。これらもデザイナーとして大切な貢献だと考えています。

行動の主な目的ははっきりしているほうがよいですが、その行動がもたらす成果は多面的に捉えることができます。この表現方法に、デザイン組織のディレクションが表れるはずです。

デザインの活動には、価値の潜在性があります。
例えば、長期的効果である(時間軸が長い)とか、イノベーションを誘発する(確率とインパクトが不明)などといったことです。

それをふまえると、組織的になにが貢献たりうるかを先回りして言語化・型化しておくことは一定の意義があるように思います。

タイミーでの設計

さて、ではタイミーではどうしてるか。
タイミーのデザイナーはPdMやエンジニアなどさまざまな職種のカウンターパートとして、密に協働する働き方をしています。したがって、期待される役割は、所属する開発チーム(Squad)や状況に応じてさまざまです。そのため、ある程度幅をもたせた設計にしています。

よいユーザー体験をデザインすることだけではなく、チームの協力を促したり、ユーザー中心の考え方を組織に広めたりすることも大切な役割です。UIデザインのみならず、チームのコラボレーションやプロセス面にフォーカスをあてています。

行動モデル:デザイナーの日々の実践

行動モデルは、デザイナーが日々の業務の中で取るべき具体的な行動を示しています。探求する・構想する・具現化する・評価する・巻き込む・貯めるにカテゴリ分けできます。これらの行動は、デザインツールを操作するスキルにとどまらず、チーム全体のプロセスや思考に影響を与えるものも含まれています。

例えば、仮説や問いを立てることから始まり、ユーザーリサーチ、ビジョン設計、アイデア発散、コンセプト立案など、プロダクト開発の各段階で求められる行動を網羅的に示します。さらに、チームのファシリテーションや外部への発信など、より広い範囲での貢献も含まれています。

成果モデル:組織にもたらす価値

成果モデルは、デザイナーの行動がもたらす組織レベルでの成果を定義しています。これらの成果は、必ずしも直接的なプロダクトの改善だけでなく、チームの協働や創造性の向上、意思決定の質の改善など、より広範囲な影響を含んでいます。UI/UXの実現、文化形成、プロセスの改善、チームパフォーマンスです。

例えば、ユーザーの課題解決やチーム全体のユーザー中心思考の浸透、生産性の向上、開発のスケーラビリティの改善などが含まれます。これらの成果は、デザイナーの貢献が単にビジュアルデザインの領域を超えて、組織全体の成功に影響することを期待しています。

運用のスタンス

このモデルは、すべてのデザイナーがあらゆるシーンで全ての項目に精通している必要はありません(あれもこれも症候群に陥る危険があります!)。プロジェクトの特性や個人の強みに応じて、適切に活用していくことが重要です。

例えば、新規プロダクトの立ち上げ段階では、ビジョン設計やコンセプト立案に重点を置くかもしれません。一方、既存プロダクトの改善フェーズでは、ユーザーリサーチや仮説検証に注力するべきでしょう。

行動と成果のモデルは、次のような活用方法を企図しています。

  • 自己評価や成果をプレゼンテーションするのワードとして使えるようになる

  • 組織の方向性を示すツールとして使う

  • 採用プロセスで期待する貢献を示す

これらを実際に毎日目につくところ訓示として掲げているかというと……そんなこともありません。日々のコミュニケーションでスタンスが伝わっていれば、ときどき読み合わせるだけでも一定認識が揃いやすいのかなと思います。

また、デザイナーの役割を定義すると、他職種からの認識を形成することへの期待が生まれるかもしれません。 ですが、現段階では積極的に他職種に公開していないフェーズです(こうして記事にしているぐらいですから、アクセスはできます)。
調整段階であることも一因ですが、理想的には、実態からつくっていく。デザイナーの行動と実績の積み重ねから生まれるイメージが、この役割定義に近づくことを期待しているためです。

このモデルは常にIn progressで、定期的にメンテナンスしていくものです。もっと有機的に矢印を結んで精緻化していくものですが、個人的には指さして使う程度にシンプルなものがよいかと考えています。

リファレンス

デザイナーの貢献価値に関する資料はたくさんありますが、私が参考にしたリファレンスを列挙します。よかったらご覧ください。

おわりに

このように、行動と成果のモデル化による、デザイナーの組織的目線を整理する事例を紹介しました。
もしもこう使えるかもというインスピレーションや、試してみたいという方がいらっしゃったらお気軽にDMでお声がけいただけたらと思っています!

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