”それぞれの大変さ”にも向き合おう。男性管理職の育児休業体験記

はじめに

メリークリスマス!皆様いかがお過ごしでしょうか。
この記事はLivesense Advent Calendar 2022 DAY 24 の記事ですが、クリスマスの話も技術の話もしません。

リブセンスでIRや予算管理などの責任者をしているyuyaといいます。
突然ですが、私は2ヶ月ほど前、約1年間の育児休業から復帰しました。
ここ数年、国の掛け声や制度改定などの後押しもあり、育休取得率の向上に力を入れる企業が増えてきました。「周囲の男性社員が育休を取得した」という経験がある方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、男性の育児休業は世間的にはまだマイノリティ、世の中の理解や各社における制度の整備も発展途上です。令和3年度雇用均等基本調査によると男性の育休取得率は13.97%、育休の取得日数は半数以上が2週間未満とのことです。
そんな中で「男性」「管理職」「長期」という育休界におけるレア属性を持った身として、どんなことが起きたのか/してきたのかをお話しできればと思います。

と言いつつ、実際「男性管理職」特有の話などは特にありません。また、育児の体験談なども既に多くの情報発信がされているので、そちらに譲ります。
本記事で言いたいことはだいたい次のようなことです。

  • 長期で仕事を離れにくい状況ってありますよね

  • 実際、本人も周囲も大変ですよね

  • 「仕事をすることで育休を取る」という選択

  • 育休中と復帰後の様子

  • 大事なのは話し合えること

長期で仕事を離れにくい状況ってありますよね

一口に「育児休業」と言っても、その期間や業種・職種によってハードルは様々です。私の場合は少人数部署のプレイングマネージャーという立場で

  • 社内で自分1人しかできない仕事がある

    • IR(投資家向け広報)の責任者を担当。業務知識がニッチ&多岐に渡るため、すぐに後任を育成することも難しい

  • 年1回しか行われず、事前の引き継ぎが難しい仕事がある

    • 株主総会や決算発表、年次予算策定など

  • 会社自身も赤字脱却のための大きな取り組みなどを控えていた

    • 育休開始時期は計画フェーズから実行フェーズに移る重要なタイミングで、取りまとめを担当していた自分が抜けて良いか悩んだ

といった事情がありました。正直、当初は自分が長期間不在の状態で部署が回る状態を想像できませんでした。出産年齢も上がってきている現在、程度の差はあれど似たような悩みに直面した人もそれなりに多いのではないかと思います(とはいえ、もしかしたらこのような悩み自体が「休まない選択肢」がある男性側の目線なのかもしれません)。

実際、本人も周囲も大変ですよね

当然、育休にあたっては本人のみならず周囲も様々な調整が必要になります。場合によっては異動や採用という対応も必要になります。業種や職種にもよりますが、1-2週間程度なら夏季休暇等と似たような対応、数ヶ月程度ならチーム内で一時的な業務分担の変更や業務量の調整、半年以上なら代替人員の手配、といったレベル感でしょうか。

今回、もっとも悩ましかったのが私の上司と会社でしょう。言うまでもなく育休の取得は権利。ただ、上記の事情もあり、代わりの担当者がすんなり見つかるわけでもない。とはいえ、止めることもできない。出産自体は喜ばしい、育休も応援したい、ただ仕事のことを考えるとどうしていいか…そんなジレンマは自分に置き換えて考えれば私もよくわかります。
特にマネジメント経験がある人は、そういった事情がわかるだけに自身の育休取得についても躊躇してしまうことがあるかもしれません。

「仕事をすることで育休を取る」という選択

悩ましい状態を打開するため、どのような対応が考えられるかを何度も話し合いました。
幸いだったのは、上司が「育休が権利であること」「喜ばしいこと」「一方で仕事や周囲のメンバー、同僚の負荷には懸念があること」を率直に伝えてくれたことです。それにより、「課題をどう解決するか」という視点で話をすることができました。
結果として、私は「育休中も臨時で業務参加をする」ことにしました。「引き継ぎが難しい業務がある」という課題に対し、「自分自身でサポートする」という形でクリティカルな影響を防ぎ、育休取得を可能にした形です。
なお、育休は育児に専念するための制度なので原則として育休中の就労はできませんが、「一時的・臨時的」に就労することは認められています。
(2022年10月の制度改定により、「産後パパ育休」利用時は期間中の就業も可能になりました)

そのために、まずは

  • 全て引き継ぐ仕事

  • 基本は引き継ぎ、クオリティチェックや相談レベルで対応する仕事

  • 近い時期に終わりが見えており、引き続き担当する仕事

を分類し、後任の担当者にそれぞれの引き継ぎを進めていきました。
並行して、リブセンスでは今までそのような育休の取り方をする社員がいなかったため、人事部に相談して問題点の確認と労務的な取り扱いの調整をしてもらいました。
引き継ぎかたや育休の取得方法についてこのような調整をしてもらわなければ、1年という長期の育休を取得することは不可能でした。周囲の同僚や人事のメンバーには本当に感謝です。

育休中と復帰後の様子

育休中は基本的に育児優先のため、仕事をすると言ってもいくつかの工夫やルールが必要です。以下のような方針を決め、対応していました。

  • リモート勤務を前提とし、出社対応は原則行わない

    • リブセンスは最初からほぼフルリモートだったので、この点の支障はありませんでした

  • 隙間時間に非同期でできる仕事を中心にする

    • 主にチャット相談に答えたり資料のチェックをしたり

    • チャットの確認も最長数日かかる前提で、急ぎの話は専用のSlackチャンネルに投げてもらいました(そこだけ通知をonにしていました)

  • 直接話す必要があるミーティングなどは事前に予定を入れてもらう

    • あらかじめ妻と予定を調整して対応しました

難しかったのは大量の情報を調べたり集中して考えたりする仕事です。特に子供が低月齢のうちは生活リズムも安定せず、常に最優先タスク(子)の待機をしているような状態です。集中して何かを考えていても、子がウンチ対応を要求して泣き始めれば思考は強制リセットされます。そのような環境で長い時間と全ての集中力を仕事に振り向けることはかなり難しいため、こういった業務はできる限り避けるべきでした。

育児と仕事の並行は大変ではあったものの、実際にやってみるとメリットも大きいものでした。まず、サポートを継続することによって完璧な引き継ぎ(そんなものが本当にあるのかは別として…)が不要になります。メンバーからは「ライフラインだけは繋がっているという安心感があった」という言葉をもらいました。また、サポートが同時に自分自身のキャッチアップ機会にもなり、復帰への不安が軽減されることも大きいです。そしてこちらは完全な副産物ですが、不定期に仕事の脳に切り替えて大人と話をするのは、話し相手が基本的に妻と子(話さない)しかいない環境においては非常に楽しい時間でした。

復帰後の現在は以前と同じ仕事をしています。多少のキャッチアップ期間や思考体力の低下はあったものの、仕事の情報には常に触れていたこともあり、比較的順調に以前の状態に戻れたように感じています。

大事なのは話し合えること

私は周囲の助けもあり、結果的に「臨時で仕事をしながら1年間の育休を取得する」という形に落ち着きましたが、この方法を万人にお勧めしたいとは思いません。
もっと育児に集中したい人、仕事をしたい人、それぞれの家庭や組織の事情もあるでしょう。上述の「大きな取り組みの途中で抜けてしまう問題」など、解決しきれなかった課題もありますし、私が後任の責任者やメンバーに負荷をかけてしまったことも事実です。
一方で、今後男性の育休取得を促進する流れが後戻りすることはないでしょう。リモートワークや副業によって業務とプライベートの境は曖昧になり、男性育休の普及によって従来の2倍の人員が育休でいなくなる。今後、各企業は従業員のプライベートが仕事に与える影響と対応を一層真剣に考えないといけなくなります。
そんな時代だからこそ、今回行ったような「それぞれの事情に合ったやり方」を模索・議論できる環境や関係の価値は大きくなるのではないでしょうか。

それぞれの個人、同僚、会社は本来同じ場所で同じ方向を向いて働く仲間です。単純な利害対立としてどちらかの事情を押し付けるのでもなく、当事者の葛藤に目を瞑って理想論を語るのでもなく、祝福すべきは祝福し、課題は課題として共有し、皆ができるだけ幸せになるリアルな方法を都度考える。そうすることで「育休を取る」から「良い育休を取る」へのステップアップができるのではないか。
そんなことを考えた1年間でした。

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