罪を犯させたこと、ありますか

初めまして。リブセンスのコーポレート部門で働いています。yuyaといいます。

何を書くかしばらく迷っていたのですが、ひとつ印象深いエピソードがあることを思い出したので、今日はそのエピソードを紹介します。

財布と叱責

もう十年以上前、私が新卒入社した会社で働いていたときです。当時の上司が何か言っているのが聞こえました。

「おーい、ここのデスクに置いてある財布、誰のだ?」
「あっすみません、僕のです。ありが…
「馬鹿野郎!!」

意味がわかりませんでした。
「気をつけろ」ならわかりますが、なぜ自分の財布を置き忘れて上司に怒られなければいけないのか。
続いて、上司はこんなことを言いました。

「いいか、ここに財布が置いてある。もしこの場にお金がなくて困っている人がいたら、ふらっと手を出してしまうかもしれない。お前は、自分の不注意で誰かを犯罪者にしてしまったかもしれないんだ。わかったら次からは絶対にこういうことをするな」

人を知るということ

私が当時働いていたのは飲食店のお手伝いをする会社でした。
飲食店の現場には社員、アルバイトさん、お客さん、業者さんなど様々な人が出入りします。中には日々の生活で精一杯の人もいます。
上司の言葉は、そのような現場の実感から出た言葉だったのでしょう。

要素をまとめるとこんな感じでしょうか。

・世の中には自分が思っているよりも多様な境遇、思考、行動パターンの人がいる
・100%の善人も100%の悪人もなく、すべてはグラデーションである
・1人の中でも善悪の振り子は容易に振れる
・人間は弱い存在であり、環境やタイミングや運に大きく影響される
・逆に自分が行動するとき、仕組みや環境を作るときには「人の弱さ」にも心を配るべきである

その後、10年以上経って様々な人と関わったり、ニュースやネットを見たりしながら、知らなかった世界に触れる機会がありました。
そんな中で、このときの上司の言葉を今でも思い出すことがあります。
当時は釈然としない気持ちもありましたが、何かあるたびに改めて上司の言葉の正しさを感じています。

自分のちょっとした行動や環境づくりによって、人に思ってもいなかった影響を与えてしまうことの怖さ。
逆にそれを知ることによって、不幸を防ぐことができるありがたさ。
自分の弱さを知ることで、自分自身をコントロールすること。
そんな考え方を知るきっかけとなった出来事でした。

おわりに

10年以上前、たった数十秒の、そして今でも心に残る出来事でした。
願わくば、私もこのnoteやSNSやリアルの場で、誰かに良い影響を与えられる言葉が残せるように。そして、そんな良い影響の連鎖が起きるように。

蛇足ながら、最後に別の上司の心に残っている言葉も紹介してこの稿を終わります。
「どんなに忙しくても絶対昼休みは1時間取る。お前も取れ」
休憩は超大事。
GWが明けますね。しっかり休んでお仕事しましょう。


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