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理由は「楽しいから」、それだけで十分だ。

今回の内容も、朝ドラ『舞い上がれ』のネタバレを含みます。
ご注意ください。


また朝ドラ『舞い上がれ』を取り上げたい。

NHKの朝ドラは1回15分、平日は毎日あるから、忙しい人でも比較的観やすいと思う。
さらに、15分で終わるので、続きが気になり、翌日には続きが観れるから、気づくとずっと観ていたりする。よくできている。
観るのをやめるとするなら、内容が面白くなくなったときだと思う。

昨日の回では、主人公の舞と先輩の由良の会話が示唆的だった。

少しあらすじを紹介すると、
主人公の舞は幼いころから飛行機が好きで、大学に入学してから人力飛行機のサークルに入ったのだった。
(人力飛行機は「鳥人間コンテスト」のアレです。)
サークルの先輩の由良は1学年上の女性で、今年の人力飛行機のパイロットだ。基本的に厳しそうな性格に見える(個人的感想)。
由良は今年の飛行が成功するよう、毎日ストイックにトレーニングに励んでいる。
1回生(関西では大学の学年を〇回生と呼びます)の舞はトレーニングしている由良にドリンクを差し入れに行くと、由良になぜこのサークルに入ったのかを聞かれるのだった。

というのが、昨日のあらすじである。

まず由良は、なぜ自分が人力飛行機のサークルに入ったのかについて、以下のように語っている。

「私は子供のころ、野球をやってたんや。ピッチャーで4番や。
でも、中学に入ったころから男子に敵わんようになってきてなぁ。私が渾身で投げた球も簡単に打たれてしまう。それで中二で野球辞めたんや。そのころ読んだ本に、アメリア・イアハートの伝記があったんや。それを読んで、女性でもこんなに活躍できるもんがあるんやって思った。だから私もパイロットに憧れた。人力飛行機のパイロットはその夢の第一歩や。」
著者意訳

アメリア・イアハートは女性として初めての大西洋単独横断飛行をした人らしい。僕は昨日のドラマで初めて知った。

この由良の話に対して、主人公の舞は人力飛行機のサークルに入った理由を以下のように答えている。

「私は幼いころからとにかく飛行機が好きなんです。
でもこれまで同じように飛行機について語れる相手がおらんかった。
ここに来て、私と同じように飛行機について熱く語れる相手がおって、そんな人たちと人力飛行機を作るのがめちゃくちゃ楽しいんです。
志が足りないでしょうか?」
著者意訳

舞は由良がパイロットになるという明確な夢を挙げたことに対して、「飛行機を作ることが楽しいから」という理由は志が足りないのではないだろうか、と由良に聞いている。それに対して由良は、

「そんなことないよ。アメリア・イアハートが大西洋単独横断飛行をして、なんでそんなことするんですかって尋ねられたときに、彼女はなんて答えたか知ってる?
「楽しいから」や。」
著者意訳

僕は、なるほどなぁ、と思った。

僕たちは何かをやるときにもっともらしい理由を付けることが多いかもしれない。
生活のため、組織のため、社会のため…etc
それはそれでいいと思うが、何かをやる理由として、一番説得力があり、一番の原動力となるもの、それは、「楽しいかどうか」ではないだろうか。

本人が「楽しい」と思ってやる。それ以上の理由なんて必要ないのかもしれない。
結果として、人の役に立ったりすることがあれば、それはそれで素晴らしいことだと思う。

アメリア・イアハートは、「自分が楽しいから」、大西洋を横断飛行した。
特に誰かの役に立とうとも思っていなかったかもしれない。
だが、だいぶ後になって、由良を励ます結果となった。
由良はドラマの中の人物だが、リアルでも多くの人を励ましたかもしれないし、アメリアの活躍によって自分も新しいことをやってみようとか、パイロットになってみようとか、飛行機に興味を持ったとか、誰かのきっかけになっているかもしれない。

楽しいと思うことをやる。それだけでいいのだと思う。

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