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簡単で頑丈な手作り本の綴じ方(ページ数に柔軟)

自分がまとめた文書を綴じて本を作りたいなと思うことが時々あると思う。今回私が本にしたいと思った文書とは、買いたい気持ち研究会というマーケティング系の勉強会のまとめ資料。文書と写真とが混ざったWordで100枚を超えるボリュームだ。これを電子データとして仲間にメールで共有するだけでも良いのだけれど、幹事を務めた特別な思いもあって、形と重さのある本にして手元に置きたい。

とはいえ外部の業者に製本をお願いしたり、製本用の機材を買い揃えたりするほどでは無い。家庭用プリンタと一般的な文具だけで、一般の本と大差ないクオリティの本は作れないものか。そんな思いで色々と考えて、試行錯誤を重ね、ようやく満足いく仕上がりの製本方法になったので、そのプロセスを紹介する。


2段組で片面印刷して山折り

カラー写真のページを含む書類は、家庭用の一般紙では印刷した部分のインクのせいで紙が波打ってしまう。今回の文書は写真を含むカラーページが多いので、両面印刷だとヨレヨレのページばかりの本になってしまう。そこで片面印刷した上で山折にすることで、多少ヨレても目立たない構造にした。

袋とじ企画のように印刷面を外にして山折り

半分に折られたA4用紙がA5サイズの縦長になるのでWordのフォーマットを予め2段組みにしておく。縦長の写真ならばA5サイズでも十分大きいが横長写真だとそうはいかない。横長写真がある場合は見開きで大きく見えるように偶数ページに左半分、奇数ページに右半分のイメージを載せることで、A4横で印刷したときの感じに近くなる。よく一般で売られている写真集もこの方式を採用している。単純に並べると見開きにならないページには必要な場所に改ページを入れて調整した。

ホチキスではなく穴開けパンチ

約100ページの文書を2段にしたので印刷する用紙は50枚になった。ただ結局半分に折り曲げるので綴じる部分は100枚の厚みである。さあ問題はこの紙の束をどう固定するかだ。ホチキスで何ヶ所も留めたら安定感は出る。でも一般的なホチキスは30枚くらいが限界だと思う。だからと言って業務用のホチキスは嵩張るし、良さそうなものはかなり高価なので買えない。そもそも、ホチキスで固定する場合、ホチキスの針が綺麗に一列には揃えるために結構神経を使いそうだ。ホチキスは諦めよう。

そうだ、穴開けパンチなら数回に分けられるので、枚数に上限がない。家に一回で40枚くらい穴開けができるものがある。よしこれで行こう。

結構パワフルな穴開けパンチ

次なる課題は、このパンチで開けた穴を使って紙の束を固定させるかだ。和綴の本はよく紐で結ぶ方法をとっているがパンチで開けた穴は大きく普通の紐では安定しないだろう。太い紐を使うと結び目が大きくなって、凹凸ができそうで格好悪くなりそうだ。

厚みのない金属ファスナーで固定

紙資料をまとめるときに最近好んで使ってきた金属ファスナーがある、あれを使おう。これならがっちり止まるし、厚みがないので、表紙に凹凸ができず、すっきり仕上がる。一本でももちろん止まるが、2本を使い、パンチ穴も三つにして、上段下段に一本ずつ挿すと安定感もがグッと上がった。

10本300円くらいのカラーファスナー
パンチを3箇所にして2本で止める

厚めの色紙で表紙作り

半分に折られた厚さ100枚の束を綴じる方法は定まったが、まだ本と呼べるレベルにはない。そこで表紙を付けることにした。色や柄のある表紙ならば、きっと本っぽくなるはずだ。ただ一般的な本のように背表紙を含む形で本を覆う形に色紙を綺麗に切ることは結構難しい。どうにかして自分で切らずにサイズの合った仕上がりの本は作れないだろうか。

そうだ、本体はA5だ。A5サイズに予め切られた色紙を表紙と背表紙に使って本体を挟み込む構造にすれば良いじゃないか。近くの文具屋でA5サイズの厚めの色紙を探したが無地の白色しか見つからなかった。そこでウェブで探したところ、色のバリエーションの多い良いお店がAmazonで見つかった。今回は京むらさきという素敵な名前の色を選んだ。紫は高貴な色だし、この紫は特に上品だ。

表紙と裏表紙に使うのは厚目の色紙

この紙をそのまま使うのでは味気ないので、表紙の柄を作ることにした。研究会の名前の「買いたい気持ち」→「かいたいきもち」→「解体新書」という洒落を思いついて方向性が決まり、杉田玄白の名著のデザインをお借りすることにした。このダジャレが伝わるように「買いたい心象」というタイトルを名画の上に付けさせてもらった。

本体と同様にパンチで穴を開け、表紙を含める形で、金属ファスナーで固定した。だいぶサマにはなってきた。ただこのときファスナーが表に出ていると、本棚の出し入れに手間取りそうだし、隣の本を傷付けてしまう。ファスナーが外側に出るのを避けるため、表紙をファスナーの外側に付けることにした。

表紙にはパンチ穴は開けず、ファスナーと表紙は両面テープで貼り付けることにした。できる限りファスナーを重ねず、ファスナーが無い部分との段差を減らし、かつ強力な両面テープを使うことにした。束ねている部分だけが結合できた。

試行錯誤を繰り返しながら、開きやすくて、頑丈な自作本を簡単に作れる手法を編み出せた。背表紙部分が白色の紙の束のままなのは本棚に置いた時に見劣りする。ここは残課題ありで工夫の余地があるので、まだまだ進化させていきたい。

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