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平日二日目らしさ

お昼休み、顔見知りの男の子とすれ違って声をかけてもらったのに、ごもってきょどって目を伏せてしまった すれ違ったあとの20歩目くらいまで後悔した 30歩目くらいまで反省した

日が暮れるまで、図書館で勉強した 今までの小テストの復習をしてたら、とある一枚にだけ教授からコメントが書かれていた めずらしいので気になって読んでみると、思い出すべきことを思い出した 小テストの欄外に、お気に入りの映画について書いてなんとなく消したわたしのふるい筆跡が、うっすらと残っていた 教授が採点といっしょに、お気に入りの映画についてのコメントを残してくれたのだった 

気づいてとても嬉しかった ああ、どうしてこのことを忘れちゃってたんだろ、って自分につよく怒れた それにしても、ドキドキした いけないことじゃないんだけど、いけないことしてるみたいで、小学生の頃にあの子とした交換日記みたいで、授業中にこっそり交換しあった小手紙みたいで、ちょっとドキドキした まあ、相手はやさしいおじさん教授なんですけど、他人の文字にはどうしてもドキドキする なんて考えていたら意識が遠のいて、眠気がどっとやってきて、開いたノートに見守られながらゆらゆら揺れていた

空白の二十分後 

図書館に響くバカの声で目が覚めた 窓の外を見てみると、夕空のオレンジは藍色に押され負けていた 向こうの町のうえだけが燃えていて、こちらはさむいさむい夜の手前だった へんな妄想をしながら思考の奥の奥のへどろにずんずん沈んでいくのは癖だ 病気だ 娯楽だ さっさと用具をしまって、さっさと図書館をでた

最寄駅について ダサい手ぶくろを丁寧にはめて自転車に乗った 帰り道はふだん人気の少ない田舎道なのに、うしろには四人くらいの自転車帰りピーポーがいた こうなると、勝負せずにはいられない!カーブは内側を通って、コーナーで差をつけろ!なんて心のなかで実況しながら自転車帰りピーポーに負けないよう、盛り盛りこいだ 追い抜かされたくなくて、盛り盛りこいだ まあ、負けちゃったけどね 後輪パンクしてるので


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