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結局どうしたかって言うと

こんばんは。お体にお気をつけくださいね。
ありがとう。あなたもね。

地元には昔、愛世界と言うホームセンター的な商業施設があった。
電気屋さんを謳ったわけでもない筈だが、家電があったり、おもちゃがあったり、なんか道具がいっぱい売っていたような気がするが、なにぶん昔の事なのでよく覚えてない。 
ある時に、チラシでダッチオーブン1500円と言う文字を見た。
マジか。と思った。
その直前に、アメリカ合衆国初代大統領が遺産品目としてダッチオーブンを誰それに…と言う歴史こぼれ話を読んでいたせいか、当時は遺産として扱われたような有用なものが1500円で買えるなんてと思わず自転車を走らせた。
勿論、たかが1500円で買えるようなものがそんな良い物であるわけもなく、言うまでもなく中国製。 折しもその直後に中国鋼材の重金属汚染が…なんて文字が躍るのを見た家族が、口に入るものを作るのはと調理に難色を示し、結局料理に使ったのは2度3度。 今では立派な火消し壺として活躍してくれている。
炭を熾し、七輪で魚を焼き、奥に残った熾火をこのダッチオーブンにあけ、思い鋳鉄の蓋をすると、あっという間に酸素を燃やし尽くし、自然に鎮火してくれる。 鎮火するまでが高温だが、火災の心配を減らしてくれるので大変ありがたいと思っている。

火消し壺には灰がたまり、その灰が良い感じに断熱材になってくれていて、上で赤々と燃える炭の熱も、下にはあんまり届いていない。
火消し壺、灰、そして炭。 時折上る煙。 何かに似ているなと思った。

うちではテレビをケーブルテレビで見ている。
地上波と、専門チャンネルとで何十局とチャンネルがあるが、正直見るのは繰り返しのニュースばかりをやっているニュースチャンネルくらいだ。
以前は天気予報のチャンネルとかあったのに、スポーツやなにやら自分に興味のないコンテンツばかりが充実して、いまじゃすっかりお見限りだ。
そのかつてあったチャンネルに、旅専門のチャンネルがあり、これが自分の行かない・行けないような所をよく紹介してくれて、なかなか心を潤してくれるチャンネルだったのだが、…今はもうないのでとても残念。
そのチャンネルがある時に、北海道を紹介してくれていたことがある。
正直、観光地化されたところばかりの紹介だったが、その回は燻製工房の取材をされていた。
ログハウス的な建物。 天井は高く、内側も広い。
壁に沿うように吊るための線が伸ばされており、そこに魚やらソーセージなどがかけられている。 燻煙をかけているからだろう。 画面下からゆっくりと立ち上る煙が、風で揺らされることなく、ゆっくり、ゆっくりと立ち上っている。
燻材は何かなと画面を食い入るように眺めていると、レンガで枠を囲った、囲炉裏の様な、小さな砂場の様な灰の溜りの真ん中に大きな丸太が横たわり、絶えず煙を出していた。
勿論、丸太単体だけで煙が出るはずも無く、ははあ、炭か何か、場合によっては電熱線のようなもので焼いているのだなとあたりをつけたら、案の定、丸太の下に真っ赤に焼けたオガ炭が並んでた。
なるほど、プロの設備はこのようなことが出来るのだな。 その時は、そのようなことをただぼーっと眺めているだけだったのだが、思い返せばそれこそがまさに、自分にとって必要な答えだった。

一斗缶と鉄パイプをどかし、ダッチオーブンを持ってくる。
前回出た消し炭に火をあてて、赤々とした炭の色に熱する。 あおぐのはうちわではなくハンディファンだ。 ここでもこれが役に立つ。
炭が燃え、良い感じになったらこの上に燻材を置く。 桃のチャンク。
ざるを置き、観察する。

すっかりくたびれた火消し壺と100円ショップのザルと言う最適解。

煙がもくもくとあがる。 そして懸念していた火は出ない。
いや、決して出ないわけでは無いのだ。油断していたら確実に燃え上がる。
でも、すぐに燃え出すのでもなく、確実な管理のもとで行えば発火のタイミングを遅らせる、場合によっては発火させないで煙を出し続けさせることが可能だ。
しかも、一斗缶を使っていた時の、成分のロスはない。 カルボニル化合物、フェノール系化合物、有機酸が無駄遣いされることなく立ち上り、肉にまとわりついていく。

火のそば…温燻・熱燻 少し上から…冷燻と言う一度で二度楽しめる燻煙機構。(冬季限定)

この方法で一日数時間。 これを数日繰り返す。
天候と勤務の都合で4時間しかできない日もあった。7回はしたつもりだが、6回だったかもしれない。
家族に呼ばれて席を立った時には、火が起きてしまったせいで一時温度計が60度を指していたこともあった。 あわててビニールを外し、氷点下の気温に晒したが、効果があったかどうか。
かと思えば火が消えて、煙が全く出てない時間もあった。 そうなるとハンディファンで再び火を熾す。 すべてが順調とはいかない難しさがあった。

ハンディファンと火ばさみと霧吹き(水)
お前たちには世話になりっぱなしだよ。

そうこうして自分でももういいかなと思える色付きを迎えたので、
燻煙処理を終了する。

乾燥に使った部屋に移動。

やはりと言うか思った通り、冷燻は色のノリがよろしくない。
もちろん色だけをひとくくりにするなら、ブナ・ナラ・クルミなど色付きの濃い材を使えばよいだけなので、これが桃の限界なのかもしれない。
そして香りが良い。 とても良い香りで、今でも食べられそうな感じだが、ダメだ。 良くない。 食べちゃダメだ。

ちなみに去年10月にカビ落としをした分の写真が

2月現在もほぼこの状態。 やはり冬はカビの発生が抑制されるみたい。

うーん。 間違えそう。
そんな感じで明日には妻の実家に預けに行くつもりです。
お疲れ様でした。

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