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その日、一日

ちょっと前の土曜日の夜、そう、あれは七夕の次の日。面白そうなイベントのツイートを見つけて、なんだか友達の顔が思い浮かんだので、すぐ友達に連絡をとった。藤原基央も目じゃないくらい閃いてからは早かった。

友達というのはハセ。この前クラプトンを一緒に観に行った彼。なぜ彼の顔が浮かんだかというと、彼は本の虫でもあるけれど、同時に食器の虫でもあると言って過言ではないと思っているからで。いや、過言かもしれない。でもお店とかで食器を手に取ってみるたびにぼくの知らない単語を並べて何かすごく感動をしている様子なのでやっぱり過言ではないと思う。
ちなみに料理もうまい。と思う。

というわけで、本も食器もand recipeの雰囲気も楽しめる、こんな一石三鳥な機会はないぞ、とソッコーで予定を調整しようと電話したわけである。夜も10時を回っていた。なんなら11時のほうが近いくらい。非常識にも程があるが。

ぼくはそこそこフットワーク軽めな人種にあたるとは思うけど、ハセも靴底が雲でできてるんかってくらいフットワーク軽めな感じはある。びっくりするほどトントン拍子で話が進んでいった。
土曜日にはハセとぼくの共同弾き語りイベントがあったので、翌日にイベントのおつかれさま会を兼ねて行くことにした。イベントのおつかれさま会というのはぼくのなかだけの裏テーマだったから彼は今の今まで知らないはずである。知ってたらこわい。

暑い。かたちあるもの全てを溶かしてしまいそうなほど暑い日だった。水浴びをしているハトに混じって水に飛び込みたい思いを必死におさえこみながら特急にとびのった。すでに汗ばんでいる。が、特急の中はかなり快適だった。ハトにならなくてよかった、と心底思った。歌おう人間賛歌。

今回の散策には同行者がいる。ハセの奥さんであり、ぼくの親友だ。彼女もよく写真を撮っているのでぼくが普段肩にかけているミラーレスを「貸そうか?」と言ったらすごくいい笑顔で「いいの?」と聞いてきたので、「重いけど」と彼女に渡して、ぼくはGRで、お互いにいろんな写真を撮ることにした。(カメラの配分逆では?というツッコミは重々承知であります)
なので今回は彼女が撮った写真もおりまぜながら書いてます。彼女、とてもいい写真を撮るんです。
ハセはスマホでパシャパシャしてた。

代々木上原は駅を出たところから素敵なお店がたくさんあって、かなりの寄り道をしながら会場へ向かった。
会場に着く頃には汗ばむどころかジブリの涙みたいに体じゅうから汗が吹き出していた。着くや否や飲み物を出してくれてありがたかった。命の水や…と思った。砂漠でオアシスを見つけたみたいな、そんな感覚にちかいかもしれない。

たくさんの食器と本に囲まれているのに不思議とすっきりしている印象でとても心地の良い空間だった。もともと写真のワークショップもここが予定されていた会場だったから、ここでも受けてみたかったな、なんて思ったりした。

初めての場所なのにたくさんの食器を背景に本を読む彼がおどろくほどしっくりきた。馴染んでいた。いつもみている彼でなんだか笑ってしまった。なんでそんなにおちついてるの?家なの?
どこにでもあるような風景。これが見たかったのかもしれない。

お茶碗(だと思う)が月の表面みたいですごくよかった。韓国で釉薬の研究している方の器らしい。素敵だった。
小池さんともいろいろ話をした。写真のワークショップに参加したことを覚えていてくれたみたいで「幡野さんもこの後来てくれるみたいですよ」と情報をくれた。
実はここに向かう途中の電車の中で幡野さんのそのツイートを目にして、ハセたちと「会えたらいいね」なんて言っていた。
「まだ着くまで時間があるようだから近くのお店とかを覗いて、しばらくしたらまた来てみてください」と言ってくださったので、一旦近所のお店をみて回ることにした。美味しい珈琲屋を教えてくれたのでそこを目指しながら。小池さんたちの親切がすごい。あたたかい気持ちになった。外は灼熱だったけど。

道を間違えたりしながら15分くらい歩いたと思う。途中途中で自転車を目にするたびにハセが足を止めるので大変だった。彼は自転車の虫でもあるのだ。ぼくが自転車をかじった程度の知識で買いに行ったとき、彼はまだ1ミリも知らなかったはずなのに、今ではぼくの2億倍くらいは自転車の知識を持っている。研究がすごい。

めちゃくちゃ美味しそうなカフェラテ(めちゃくちゃ美味しかった)と軽めの食事を頼んだ。小池さんおすすめのチーズドック、まずもってパンがほんとうに美味しくて震えた。あと、飲み物のストローがほんとうにstraw(藁)っぽくて笑っちゃった。

「そろそろもどろうか」
今思えば、迷子になってもいいから別の道を戻ればよかったな。とはいえ行きと帰りで同じ道でも見えるものが違って面白かったけど。

一度目に来た時とはまた違った緊張をひきつれて階段をあがった。鴨さんの「まだ来てませ〜ん」の声で一瞬緊張が緩む。ネコノスの鴨さん、見た目はちょっぴりこわいけど、お話をしてみるとツイートと似たような雰囲気でやさしくおもしろく、という感じだった。

どことなくそわそわしながら食器や本を眺めていると幡野さんが会場にやってきた。いろんな方とお話をしているあいだ、なんだかずっとそわそわしていた。今からラブレターでも渡すんか?ってくらい。

話し出したら話し出したでいつもサラッと出てくる言葉も全然出てこなくてびっくりした。もっとフラットな感情で話したいものだけど、どうしてもいろいろたかまってしまうよね。
途中からハセたちも一緒に話をして楽しかった。実は幡野さんの現像企画のなかで送った写真にハセたちが写っていて、その写真を幡野さんがいいと言ってくれたのもあって、2人と一緒に幡野さんと会うのがちょっとした夢みたいなものになっていた。それがはからずもこの日に叶ってとても嬉しかった。
お客さんとして来てたのにたくさんお話をしてくださってありがとうございました。
コミュニケーションを大切に、これからもたくさん写真撮っていこうと思います。

同じタイミングで右足をちょっとあげてておもしろい。
その瞬間を写真におさめる彼女もおもしろい。

もう何も考えなければずっと残ってなんやかんやお話しできたら楽しいだろうな、と思いつつ、切り子のグラスをひとつハセにプレゼント(誕生日プレゼントをあげたりもらったりする仲である。ちなみにハセの誕生日は5月)して、ぼくはラブレターを渡すどころか新しく一冊ラブレターを買って(持ってた通常版はちょっと前に姉にあげた)会場を後にした。話に集中してしまって特典のバッジをもらい忘れた。とても楽しかった。

その足で渋谷のヒカリエへ。ソールライター展をみにいった。人混みが地獄かもしれないと思っていたけど、そうでもなくて意外だった。
今回のソールライター展は新しく見つかったスライドとかがメインになってたと思うんだけど、スライドが小さくてかわいかった。写真を見る大きさで印象がかなり違って面白かった。期間内に行ける方はぜひ。

他にもいくつか予定していたことはあったけど、時間も時間になってしまったので夕飯を食べて帰ることにした。
1日ってほんとうに短い。1日があと2日くらいあればいいのに。

帰りの新宿駅はオレンジ色の人たちで溢れかえっていた。うすうす勘づいていたけど、ぼくはきっとオレンジ色が好きなんだと思う。
暑さになかばKOされかけながらの東京行脚、暑さをちょっと脳のかたすみに追いやれるくらいには楽しかった。夢みたいな一日だったな。最近夢みたいな一日多すぎてほんとうに夢かもしれないと疑い始めている。
and recipe小池さんの思いやりや気遣いにはほんとうに感動してしまって、今後もできるかぎり応援していきたいなと思いました。ありがとうございました。

また3人で前みたいにいろいろ遊びに行こうね。

では、また。

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