トンネルの向こう側


砂のお城に空けた穴の向こうを覗くと、
大好きな君の片目がこちらを覗いている。

互いに恥ずかしくなって笑い飛ばす。

そんなとき人は時間がいつもより
ゆっくり流れた気になる。

そして脳は、反射的にシャッターを。
あまりにも眩しくてまばたきをひとつ。
しかし、クロノスタシス的幸せは、
そこでリセットされてしまう _______。


ところで自分のトンネルの向こう側には、
いったい何が待っているのだろう?

小さくて脆いその穴の通った先に、
夢で見た綺麗な海と、大好きな君が
キラキラと太陽に照らされているだろうか?

これは決して、1人に特定した話ではない。

砂のお城が一つである必要など、
いや、もっと簡単に言えば、
望む夢や未来が一つでなければならないなんて、
他の誰かが決めることじゃない。

有限の中に工夫を凝らすことは、
砂のお城を作った過程と等しく、
「尊い」ことだと言いたい。

どれも1番に愛しくて何が悪いの?

だから崩れることを怖がらず穴を掘る。
それができたら褒めてやろうじゃないか。

この先は、君に繋がっていると信じて。

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