学振提出までの道のり

こんにちは。
私は4月から某組織で研究員をしています。

本記事では、2023年5月に大学に提出した2024年4月からの特別研究員(学振)の採用に向けて、研究計画などを提出した際の過程を記述します。
私は、多くの方の資料を拝読しとても参考にさせて頂き、参考にさせていただく事が多かったです。この経験を次世代の研究者に引き継いでもらうために、記憶が薄れる前に色々と書き残そうと思い執筆します。

なお、多くの研究者も記述している通り、n=1の意見を深く信じないでください。あくまでも単一事例として理解し、参考程度に留めてください。

1. 学振とは何か

改めて記述する必要は不要だと思いますが、日本学術振興会の略称で、特別研究員制度」のことです。研究計画書や色々な書類をもとに、日本中の熟練した多くの研究者が全ての研究計画書を審査します。計画書は相対的に評価され、およそ上位2割に入ると採用されることになります。採用されると国と雇用関係がない形式で月20万円が研究年数(2年または3年?)分+研究費が貰えます。研究者は自分の研究に専念する事ができるようになる一方で、(当然ですが)多くの研究成果が求められます。

2. 提出物の構造を知る

学振を提出しようと考えたら、最初にするべきは構造を知ることが重要です。とくに学振の構造とは、つまり計画書を含めた提出物の構造を知ろうということです。

こちらの資料を1通り読めば、ある程度感覚を掴めると思います。というより、こういう素晴らしい資料があると自分が記事を書く理由は何かを再考させられます。そして、概ね意味ないかもしれないなと思ってしまいます。

まあ、この記事ではそんなことは気にせずに、いつしか良い文章が書けることを夢見て、書き続けます。

3. あらすじを考え、書き始める

人間で言う骨格を理解できたら、骨格に沿ってストーリーを書いてみます。このストーリーは完璧にする必要はなく、穴がたくさんある状態で問題ありません。とにかくたくさん書いて、研究計画やその前提となる話を詳細に、論理的に書いていきます。

人体で言う臓器の部分を書いていくように、骨格から1段深く書いていきます。しかし、この段階の目標は緻密な文章を書くことではなく、1つの骨格に対してより詳細な骨格を書くことです。つまりあらすじです。

このあらすじの分量は多い方が良いです。感覚でも分かると思いますが、文字を削るより詳細に説明する方が多くの思考を必要とします。ですので、可能な限り緻密に論理展開を記述していきます。

4. 論理展開の確認する

概要やあらすじを書き終えたら、自分の論理展開に矛盾や論理の飛躍がないかを確認します。自分で確認して問題ない事を確認したら、この段階で指導教員に読んでもらいましょう。熱心にご指導頂ける先生なら、客観的な視点で多くの指摘やアドバイスを貰えると思います。

ここで注意点ですが、研究計画はとても独自性が高いものなので、部外者には安易に見せてはいけません。仮に同じ大学の知り合いの先生であっても、一度指導教員に相談してから見せるようにしましょう。先生によってはOKを出してくれるかもしれませんが、考えを改めるように指導してくださるかもしれません。指導教員によるので、何か行動をしようとしたら一度確認することが重要だと思います。(重大な問題に発展する可能性がありますので)

5. 提出物の分量を把握し、構成を考える

ここまできたら、提出物に記述した文章をコピペしましょう。もし多ければいい感じです。少ない場合には、より詳細に説明するべき点を優先して、分量を増やします。ただし、不要な単語を追加する必要はありません。

また、より短い単語で的確に表現できる言葉を探し、少しずつ1文ずつ推敲していきます。また、推敲するときのポイントには、漢字にする部分とひらがなにする部分などもあります。その点も注意して確認します。(例:「時」と「とき」、「下さい」と「ください」など)

6. 図表を作成する

図は文字を把握するよりも短時間でイメージを伝える点で優れています。ですので、提出物には研究の概要や全容を示した図を挿入するべきです。

この図はとても重要で、
1. 既存研究と比較した自分の研究の立ち位置 や
2. 自分の研究の特徴
などについて記述すると、図の効果を最大限利用できると思います。

7. 執筆とフィードバックを反復する

5. 以降を繰り返し実行します。
どんなに聡明な大学院生(研究者)であっても、1回の執筆で完璧な書類を書けるとは思えません。(仮にできるのであれば、すでに自身の相手ではないと割り切って考えることが重要だと思います。)

8. 必要なマインド・考え方

研究の世界で有名な言葉で、私が論文執筆や計画書の執筆する度に重要だなと認識する言葉に「完成した論文(申請書)が良い論文(申請書)」というものがあります。例えば、研究費を獲得するための申請書は、出さなければ採択される確率は0%です。でも出せば0%以上であることが保証されています。ですので、出さないのはもったないです。中途半端でも、自分なりのベストを尽くして考え抜き、提出しましょう。

また、申請書や論文は、良くしようとすれば割と無限に良くできる要素を含んでいると思います。しかし、残念ながら1人に与えられている時間は有限なので、次の申請書や論文の執筆、実験に進めるべきです。
もしかしたら、1本の論文に究極的に突き詰めて最高の論文を出した方が価値があるのかもしれませんが、私は前者のように考えています。最大の理由は、ある程度の経験値を積めば書けば書くほど良くなると考えるからです。

おわりに

さて、ここまでで私が学振を書いた手順を記述してきました。
正直、もう少し研究の目的や手法など具体的に記述していこうかなと構想していたのですが、前述したように重要なことをうっかり漏らしてしまうとまずいので、自重して記述しませんでした。

私が伝えたかったことは、誰もが最初は申請書を書く初心者であり、少しでも多く・深く考えて、経験を積んだ人が徐々に感覚をレベルアップさせていき、最終的により良い申請書などを記述できるようになることです。

以上で本記事を締めたいと思います。
ありがとうございました。

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