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キャッシュレス厨が鹿島スタジアムになんとかたどり着いた話

筆者は現金をほとんど持たず、キャッシュレス社会の流れに乗りまくっている。一部ついったランドでは、楽天の犬と呼ばれるやつだ。

これは、元々ギリギリにしか行動しない奴が、ギリギリの時間とギリギリの現金でえらい目にあって、人の温かさに救われたお話…


2019年、鹿島スタジアムへのアクセスが話題となった。

鹿島アントラーズはホームタウンのある茨城県以外に居住するサポーターが約6割だという。
また鹿島スタジアムへの移動手段の約2割を高速バスが担う、特異な集客スタイルをとっている。

9月のFC東京戦、試合後東京駅行きのバスに積み残され、帰る手段を絶たれた人が出たとか。
昨今の運転手不足で、十分なバスの台数を確保できないことが遠因だという話も聞く。

これまで関東アウェーの試合には数える程度のサポーターしかいなかったヴィッセル神戸サポーターなので知らなかったが、集客が見込まれる試合は色々と大変らしい。

アウェーの興行にも大きく貢献するイニエスタ一座と化した近年の神戸。しかも今回は鹿島にとって負ければ優勝の可能性が無くなる大一番。
バス問題が頭をよぎったものの、まだまだ対岸の火事気分。ギリギリにしか行動しない性格の悪いところである。

日常の忙しさにそんなことはすっかり忘れ、試合前日になり鹿島スタジアム行きのバスを検索する。当然満席。

横浜からのツアーバスがあるらしいと聞くが、こちらも当然満席。しかも鹿島サポーター以外の参加はNGらしく、マナーの点でも利用はできない。

鹿島サポーターの方のブログを見たところ、「人が多い試合は、東京駅で1時間は並ぶ」とのこと。「へー!それは大変やね!」と思うがまだまだどこか他人事。10時半ぐらいには東京駅に着いた方がいいかなー?

当日、まあ8時過ぎに目覚める。家事などしているとたちまち10時半。東京駅に着いていたかったはずの時間である。

調べたところ、鹿島神宮行きのバスが鹿島スタジアム行きになるのはキックオフ2時間前までだという。もはや早めに行くどころか最終のバスに間に合うかも怪しい。

ギリギリ行動マンにありがちな展開だが、とにかく走って走って走って、なんとか12時前に東京駅着。
バスの時間には間に合い安堵したものの、そこには200人ぐらいの列が…思わず目を疑う。

最後尾の札を持つスタッフからは「鹿島スタジアム行きのバスはすでに満席となっております」と非情の声。
サッカー目的の人に加え、帰省や観光の人もいるようである。

一瞬「スタジアム行くのやめて、帰ってDAZNでも見るか…?」と頭によぎるが、「いや、もしかしたらビジャを生で観れる最後のチャンスになるかもしれない…」と思い直し、列に並ぶ。
(結局その後すぐのスタメン発表でビジャは帯同すらしていないことが判明するが、もし帰っていたらDAZNの障害で前半は見れなかったので結果オーライ)

結局バスに乗れたのは12時半。しかも鹿島神宮行きではなく、鹿島セントラルホテル行きである。バスは満席で出発。

サッカー目的っぽい人は鹿島セントラルホテル行きのバスを回避していたが、自分には勝算があった。
鹿島神宮駅から鹿島スタジアムへのたった一駅を走る電車がわずかしかないことは知っていたし、事前に見た鹿島サポーターの方のブログにあった「急ぐ時は水郷潮来インターからタクシーに乗る」という一文に賭けたのだ。

毎年スタジアム行きのバスに乗るたび、「水郷潮来まで割と速いのに、その後グルグル回りすぎやろ…」とヤキモキしていたので、これは一理あるはず。

やはり水郷潮来まではスイスイで、13:40着。
自分と同じようにスタジアムまでタクシーで行く人がいれば相乗りすればいいな、でも逆にもしタクシーが足りなかったらどうしよう…などと思案しながらバスを下車。
予想に反してほとんど降りる人はいない。マジで?みんなそんなに鹿島セントラルホテルに用事あるの?

2台停車しているタクシーに急いで駆け寄り乗車するが、念のために確認。

「カード使えますよね?」

「いや、使えないよ」

「マジですか!?3000円(所持金すべて)でスタジアムまで行けますか?」

「いやー混んでるから3000円じゃムリだなー」
と運転手のおじさん。

「そうですか…」とタクシーを降りる。大変申し訳ない。

タクシーでカードが使えないのはあまりにも想定外だった。
所持金ギリギリマンにとって、所持金3000円は割と多めに持ってるほうなのだが、それでも足りないとは…
辺りを調べてもコンビニは無さそうである。

いよいよ詰んだかと思ったが、思い直して運転手さんに「途中コンビニに寄って、スタジアムまで行ってほしい」とダメ元で頼み込む。

「ホントに?混んでるけどいいの?」
と再確認され、高額請求を想像してビビる。

ここで日和ったら、ここまでバスで来た意味がねえ、と「お願いします!」と力強く返す。

「それならまあ…」とおじさん。

とはいえギリギリ行動マンは「そうは言っても、試合始まる頃にはみんな車停めてスタジアムに入るだろうから、逆にそんな混んでないのでは?」と甘々な予測。

ところが予測に反し、鹿島神宮駅のはるか手前の橋の上からもう渋滞。一難去ってまた一難。大ピンチである。

なんとか橋を渡ると、「混んでっから脇道通るね」とおじさん。そんな脇道あるんですね。優しさ…

住宅街を抜け、無事コンビニにも寄ってスイスイ進む。

周りはイオンモール神戸北の近所を思い出す新興住宅街。そういえば鹿島神宮駅前の雰囲気も神鉄岡場辺りに似ている気がする。

もうスタジアムも目前!というところで再び大渋滞。
頼もしいおじさんに「鹿島スタジアム駅の逆側までならすぐ行けるから、そこから走ったらどう?」と提案していただき、そのルートで無事到着。

駅からスタジアム前まで走って14:10着。
色々あった割に試合始まってまだ5分である。上々の結果。

アウェーゴール裏は駅と逆側なので、ぐるっと回っているうちに先制ゴールは見逃したけど…

それでも運転手のおじさんの機転と優しさに救われ、無事スタジアムに着けて感謝感激。
思いがけず人の温かさに触れた鹿島遠征でした。

なおタクシー代は3,440円でした。まあ元々3000円ぐらいのつもりだったし、祝勝会に使ったと思えばアリな範囲?


というわけで教訓
・鹿島スタジアムに行く場合、東京駅には余裕を持って行こう
・できれば予約バスを確保しよう
・アウェー遠征ではキャッシュレス社会を過信せず、ちゃんと現金を用意しよう

しっかり勝って帰れたし、本当に来れてよかった。

なお帰りはバスが渋滞にハマりまくり、東京駅まで3時間15分かかりましたとさ…


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