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医師国家試験予備試験対策記

自己紹介

こんにちは。Takkiと申します。

わたしは海外医学部から日本の医師国家試験を受験するために医師国家試験予備試験を受験し、その後に一年間の病院実習を経て医師国家試験を受けるという、比較的珍しいルートをとった日本国籍の者です。

わたしが医師国家試験予備試験に出願、対策そして受験した当初は、周りに同じような境遇の人がおらず、何も分からず五里霧中の状態が続きました。つきましては、これから予備試験を受ける予定の方々の参考になれるようなことを記録していければ良いなと思いました。

基本的に無料ですが、この文章の最後に有料記事へのリンクがあります。もし参考になったと思われるのでしたら、有料記事(内容は特にありません)を購入していただけると幸いです。

導入〜出願

私が本格的に予備試験を視野に入れたのは2013年、医学部を卒業してからです。卒業するまではとにかく、医学部を卒業する事しか頭になく、その後を考える暇がありませんでした。

揃えるべき書類や、その他諸々を考える上で、厚生労働省にとりあえずうかがうと、日本語試験が必要(JLPT一級)とのこと→受ける。書類が足りない→大学と交渉、医学部を卒業した国の外務省、教育省、日本の領事館にスタンプを押してもらう・・・など面倒なプロセスが満載でした。これに至ってはもう本当に思い出すのも億劫です。しかし近年においては上記の書類が簡略化されているようです。
揃えるべき書類と出願過程については、状況が変わることもあるので厚生労働省Websiteを参照していただきたいです。→https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/ishi/yobi.html

もちろん各国の医学部において状況が異なる上、厚生労働省の方によると「最終的にはケースバイケースです」ということなので、出願において不明な点がある場合は直接厚生労働省に確認する事をお勧めします。

書類をなんとか揃えて出願し、受験できる状態になったのが2016年の事だと記憶しています。しかし2016から2020から色々あり(学部をもう一つ卒業、留学、修士進学など)、2020まで記念受験が続きました。本格的に準備し合格を目指したのは2020年から。

医師国家試験予備試験一部対策

注:医師国家試験予備試験の内容は私が受験していた2016ー2020はあまり変わる事がありませんでしたが、予告なく変わる事があります。しかし国家試験に繋がる試験ではあることは間違いなく、出題範囲や、出題方法(MCQ:Multiple Choice Question)はおそらく変わらないでしょう。

私の周りには私のように外国の医学部を卒業して日本の医師国家試験を受験した人はいませんでした。よって、一部を合格した人から話を聞くことができず、闇雲に勉強していました(だから今こうやってNoteを書いているわけですが)。

予備試験一部の対策として、後から正解だったと思う対策方法をまとめると:

  1. 優先順位を決めた学習方法
    例えば法医学と公衆衛生は10点満点が取れる&範囲が比較的狭い。逆にその他の科目は範囲が広く、問題の予測がつき難いです。
    勉強する優先順位は 法医学>公衆衛生>その他(解剖学、生理学、生化学、免疫学、薬理学、病理学、微生物学)となりますが、言わずもがなその他はいくら勉強しても答えられない問題は出るものと考えた方が良いでしょう。

  2. 過去問題(今は探すのも一苦労だが)は最低過去5年間は全て把握しておく
    しかし一年に各科目10問と量的に少ないので同じ問題がでるとは思わないほうが良いです。過去問に関してはhttp://preex.jpn.org/?page_id=444 (私自身、このサイトの前身であるMedpassというWebサイトを利用していましたが、閉鎖されてしまいました・・・)などを利用すると良いかもしれません。(COIありません)
    予備試験にも傾向らしきものはあります。日本の医学生が通る、CBTの範囲と重複しているところが多いかもしれません。医師国家試験と比較してみると、予備試験には長文問題がありません。そのような傾向をぜひ自分で確認してみてください。

  3. 解剖学、生理学、生化学、免疫学、薬理学、病理学、微生物学については
    Medu4のCBT対策(おそらく他の予備校を使っても良いが、私はMedu4一辺倒でした)と、Medu4の内科外科の各科目の一番最初に総論があるが、それが各科目の基礎部分として大変重要です。よってそれらは必ず学習し、何回も復習する(医師国家試験への準備ともなるし、Medu4講座は予備試験2部でも有用)。(COIありません)

  4. 上記が出来たら、成書(https://amzn.asia/d/iojanHq) などを読むのも良いかも知れない。ただあくまで上記1〜3ができたら。(ぶっちゃけ、成書は必要ないかも)

余談ですが医師国家試験を受験した今現在の私の私見からすると、医師国家試験が受かるように勉強したら(たとえば医師国家試験のMEC模試を受けて、合格圏内に入る)、成書などを読む必要は無いです。そして医師国家試験を受かるためには各種予備校の用意したテキストなどを熟知し、医師国家試験過去問の把握が必要。医師国家試験を受かるだけ勉強して、その上で基礎医学をもう一回勉強したら予備試験一部は合格できるのだと思います。

そういう意味では、現在海外医学部に在籍している方々が取るべき対策として、海外医学部を卒業できるだけの勉強と並行して医師国家試験対策の勉強を進め、卒業した瞬間に基礎医学の復習を(もちろん日本語で)しておくことをオススメしたいです。あと日本の予備校(Medu4, MEC, TECOMなど)のテキストは本当に素晴らしいので、高額だと思うでしょうが間違いなく値段の価値はあると思います。(COIありません)
ついでに各予備校(Medu4、MEC、TECOM)の傾向をまとめておきます。

各予備校の傾向

前述したように、わたしはMedu4を主に使っていたのですが、その理由として、

  • 簡素である(ページ数も少ない)

  • が、国家試験に出た内容はほぼ確実に網羅している

  • ビデオ講座とセットのものであり、演習問題を含む

  • アプリが使いやすい

などが挙げられます。一方、Medu4がご自分に合わないかもしれない・・・と思う人は他の予備校テキストも見てみるといいかもしれません。特にMECは私は模試を受けた時にセットでついてきた講座を拝見しただけですが・・・流石の老舗予備校であり、講座内の説明が大変分かりやすいです。「最終チェック」など国家試験直前期には優秀な講義が出てきます。
TECOMに関しては講義を取っておらず、分かりません。しかしやはり模擬試験の内容を見ると、すぐれた講師が分かりやすい説明をしています。

医師国家試験予備試験二部対策

まず大前提として、当然ですが二部試験を受けるためには一部試験を合格する必要があります。一部を合格する前提で二部を勉強するよりは、一部の合格に全力を注ぎ、一部受験直後に二部に全力を注ぐ方が良いと思われます。

二部試験には一次と二次があります。

二部試験一次

二部一次試験は一部試験と同様、筆記試験であり、医師国家試験のようなMCQです。

二部試験一次でポイントとなるのは、その出題問題の各分野の問題数です。
出題内容として「内科学、小児科学、精神科学、外科学、整形外科学、産科・婦人科学、皮膚科学、泌尿器科学、耳鼻いんこう科学、眼科学、放射線科学及び救急医学(麻酔科学を含む。)」とありますが、実はこの11分野、問題数が全て同じです。国家試験のように内科・外科が大部分で皮膚科や眼科が少なめ・・・という事ではなく、内科と皮膚科が同じく10問出ると言うことです。

ここまで言えば賢明な医学生の方々にはもうお分かりの事でしょうが、やはり同じ数の問題が出ると言うことは、出題範囲が狭いと思われる事から勉強した方が効率はいいのでしょう。私は実際、そのように精神科学、外科学、整形外科学、産科・婦人科学、皮膚科学、泌尿器科学、耳鼻いんこう科学、眼科学、放射線科学及び救急医学を勉強し、内科外科は勉強することなく二部に望み、合格しました。

その勉強方法ですが、医師国家試験の各分野の過去問をやり込み、過去5年間の各分野の問題はすべて把握、解答できるようにしていました。(Medu4アプリでは検索、問題集にすることが可能)

二部試験一次はおそらく合格率は高いのではないでしょうか。その問題の傾向として、医師国家試験の長文ではない問題に似ています。一部試験を受かるだけの勉強をした人はちゃんと対策しいていれば二部に受かるのだろうな、という感想を抱きました。

二部試験二次

二部試験二次に関しては、直前まで出題の内容などが全く把握できず、何をやっていいか分からない状況でした。
しかし直前に情報を流してくれる方がいて、それによると

  • 面接試験である

  • 模擬患者はいない

  • 身体診察など物理的に何かをすることはない

  • 一人の先生と一つの症例に関して、さまざまな事が聞かれる

  • プロブレムリストの列挙、救急対応(BLS系)、紹介状の書き方など毎回出されるテーマがある

ということでした。実際にその通りでしたが、直前期にはそのような内容の面接試験をZoomでやる人を見つけて、週に2回程度やっていました。

予備試験合格後

さて、晴れて予備試験に合格した後は、1年間の病院実習が課されます。
具体的に言うと、合格通知と共に、「これらの病院は予備試験合格者を受け入れた実績がある」リストを郵便で送られてきます。
それらのリストから、ここに行ってみようかな〜と思う病院にご自分で連絡し、後はその病院の指定する試験や健康診断、支払いなどをして実習するだけです。ちなみに私が実習した病院は筆記+面接試験がありました。

実習したあとはすぐに国家試験です(私の場合、国家試験一週間前が実習終了日でした)。実習中に国家試験対策を終わらせましょう。
(なかなかハードです・・・)

海外医学部卒業生の国家試験の対策については、おそらく他の海外医学部卒業生と同じです。過去問をやりこみ、模擬試験をして、知識のピークを医師国家試験の瞬間に持っていくだけです。
実習中に過去問題をやりこみ、分からなかった事はすべてAnkiに放り込んで、最後の1ヶ月で詰め込みました。

模試と直近の過去問をやりこんでいった。一般臨床の点数は本番がピーク。


Ankiの推移。おそらく3万レビューは少ない方だと思われる。

最後に

国家試験まで頑張って辿り着いてえらいね!と自分に言ってやりたいですが、本当に感謝すべきは私を信じてサポートしてくれた両親です。
病院実習中、普通に接してくれた医学生のみんな、懇意にたくさん教えてくださった先生方にも感謝です。

もしよければ、ジュースを奢ると思って投げ銭を下さい
https://note.com/_takki_/n/n79991203720e
(投げ銭用、100円記事)



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