見出し画像

ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』を読んだ



長い間、少年たちと旅をしていた。見たことのない不思議な生き物も、風景も、目を閉じればまだ自在に浮かび上がる。彼らは善悪や美醜の区別なく、まっすぐな目ですべてを詳細まで見つめていた。

国全体を襲う、謎めいた虚無から世界を救うために選ばれた少年。本の中の彼の冒険を、没入して追体験する少年。それを見守る私。彼の驚きや不安、安堵、そして素晴らしい装丁の力を借り、3つの世界が、1冊の本を通じて繋がる感覚。

あかがね色の本で語られた内容はあくまで木の幹に過ぎず、語られなかった無数の枝葉の広がりに気づいた時、表題の真価をそこに見る。家族や友人に会って、他愛のない会話をしたくなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?