オーストラリアの寿司屋バイトを5日で辞めた話

『ジャパレス』(ジャパニーズレストラン=「日本食レストラン」)と言えば、海外での初バイトの代表格。英語が苦手な人でも採用されやすい一方、「最低賃金以下で働かされた!」「人間関係がドロドロだった!」「ビザ出してくれるって言われたのにそんなことは全然なかった!」などのブラックな噂も絶えない職種です。

私はオーストラリアで生まれ育った日系2世なのですが、子供のころから親や周りの日本人に「ジャパレスで働くのだけはやめといたほうがいいよ」と口酸っぱく言われていました。このたび実際に現地の回転寿司屋さんで働く機会があり、「火のない所に煙は立たないんだなぁ」と身をもって知ったので体験談をNoteに上げてみた次第です。

長いうえに後半は愚痴っぽいですが、ジャパレス勤務を検討されている方・海外の日本食レストランの裏側を覗きたい方の参考になれば嬉しいです。環境はお店によって違うので、私の話はあくまでも一例ということでお願いします…!

(※11/26:給料が振り込まれた&他店舗の事情を聞く機会があったので、お金回りについてちょっとだけ追記しました)

・働くまでの経緯など

私の本業はフリーランスの翻訳者です。
英語屋さん業務は「楽しい」「うまくできる」「頑張ったらそれだけ稼げる」の三拍子が揃っているのでたぶん天職なのですが、10月半ばになっていきなり暇になってきたうえ「フリーランスで引きこもってると同居人や仲のいいフォロワー以外と話す機会がないな…」と思い始めたので接客リハビリを兼ねてバイトを探すことにしました。

ワーホリさん御用達の生活情報サイト・日豪プレスの求人欄を開いてみたところ、近所の寿司屋がキッチン&ホールスタッフを募集していたので投稿の指示通りSMSで履歴書と自己紹介を添付して応募してみました。店長代理で募集をかけていたスタッフさん(日本人)と話してみたところ、1週間もせずにトライアルが決まってそのまま入店することになりました。

(※「トライアル」というのはオーストラリアの飲食バイトでよくあるシステムで、通常2-3時間ほど体験入店してお店の雰囲気や仕事への適正などを見極める形になります。数時間以上、または複数日に渡るトライアルに対しては給与を出すようにと法律で決められています。)

・実際の業務内容

本来はホール志望で応募していたものの、「今はキッチンの人手がどうしても足りないんだ」と言われたのでキッチンスタッフとして入店しました。まずは店内で一番簡単な仕事から…ということで「生もの以外の握り・軍艦担当」のエリアに配属されました。

私がいた店舗はオージーのお客様がかなり多く、「チキンカツ&アボカドの握り」「かき揚げの握り寿司」などの揚げ物メニューが大人気でした。揚げ物の調理担当から回ってくるカツや天ぷらなどを延々と切っては米に乗せ、レーンに流すなりお客様に渡すなりしていました。

まさか寿司屋に入ってチキンカツ切らされるとは思ってもみなかったです。

画像1

(私が一日中作っていた「Chicken & Avocado Nigiri」。上の写真は別のチェーン店のものですが、チキンカツとアボカドを延々と米に乗せ続けていると寿司の概念がゲシュタルト崩壊してきます。)

あとはアボカドを切ったり、海苔をなまくら包丁で必死に切ったり、食材を適宜補充したり、キッチンの洗浄を行ったりする感じでした。基本的に単純作業なのでメニューさえ覚えてしまえば頭は疲れません。

身体的な面でも、肩がバキバキになったり、シャリを握りまくったせいで左手に腱鞘炎の気配が表れてきたりするところ以外は言うほど大変ではなかったように思います。寿司屋のキッチンカウンターは小柄なアジア人に合わせた高さで作ってあるので、身長150㎝台以下の方なら快適に作業できるはずです。

・給与などの待遇面

私の元職場は「オーストラリアの回転寿司のパイオニア」を謳う老舗チェーン店だったからか、法律で定められた通りの時給を出してくれました。給料日前に辞めたので正直不安でしたし「振り込まれなかったら訴えたろ」くらいには思っていたのですが、取り越し苦労で済んだのでまぁそこはよかったです。(※ワーホリや学生ビザで来ている人を違法な低賃金でこき使っていた店舗の噂も聞くので、同じチェーンだからといって安心できるとは限らないようです…)

終日勤務のスタッフは1日11~12時間勤務で、待遇は「休憩2時間・まかないつき・営業終了後は余った寿司を持って帰れる」といったものでした。もっとも、同じチェーンで働いていた友人は「うちの店はクソだったから休憩1.5時間だった」と言っていたので店舗によって色々違うのかもしれません。

個人的にかなり大事なことなので念のため書いておきますが、寿司屋で働いているからといってまかないで寿司を食べられるとは限りません。私の店舗では「余ったシャリに指定の揚げ物を乗せて食べてね!サラダ・マヨネーズ・テリヤキソースはかけ放題だよ!」みたいな感じでした。(店内メニューが10%オフで食べられるという特典は一応ありました。)

あと、制服の一部(トップス・エプロン・三角巾)は支給されますが、閉店準備中に機材などを丸洗いする都合でEVAサンダル(ク〇ックスの穴なし版みたいなやつ)が必要になります。オーストラリアで買うと$70くらいするので、ジャパレスで働きたい方は念のため日本から持ってきましょう。

・私が辞めた理由

ここまで書くと「正直そんなに悪くないのでは…?」という感じだとは思いますが、私は店の人間関係がどうしても無理だったので5回目のシフトを終えた翌日に辞めました。

店長・副店長ともに中華系の方で他のスタッフも中国語ができる方が大多数だったのですが、中国語が話せない人に対してかなり排他的な雰囲気があったのです。また、毎日同じメニュー用に同じ食材を同じように切っていたにもかかわらず、教育係によって切り方の指示が全く違うのもストレスの元でした。

5回目のシフト中、店長の寵愛を受けているベテランスタッフの小姑じみた粗探しに耐えきれず喧嘩になりました。翌日に例の日本人スタッフさんを通して「ベテランさんに従えないなら来なくていいって店長が言ってるけど…」と連絡があったので、「私は教わった通りにやっていただけですし、そういう連絡すらできない人の元では働きたくないです。やめます」と伝えました。

・まとめ

ジャパレスの勤務環境や人間関係についてみんなが色々言っているのには理由があるし、向き不向きが激しい職場なんだなぁ…というのが正直な感想です。何を言われても笑顔で受け流せる人なら続けられると思いますが、私は豆腐メンタルなので無理でした!

ジャパレスでの仕事を検討しているワーホリさん・学生さん・海外生活初心者さん、色々と頑張ってください…!



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