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蒼の彼方のフォーリズム 有坂真白小説

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真白をもっと好きになる―― 蒼の彼方のフォーリズム - BLUE HORIZON - 著者 陸奥竜介 原作 sprite 蒼の彼方のフォーリズム 有坂真白シナリオを真白視点…
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2023年1月の記事一覧

蒼の彼方のフォーリズム - BLUE HORIZON - #10

6  みさき先輩だけじゃなく、進学に向けて引退した青柳元部長も顔を出してくださり(夕べ、窓果先輩への電話ついでに誘ってもらってた)、今日の練習は実に大会前以来、元のFC部メンバーが勢揃いした。  懐かしいというよりはまだ久しぶりって感じだけど、皆さんとの時間はやっぱり楽しい。それはみさき先輩だって変わらないはずだ。このメンタル攻撃は情深いみさき先輩にきっと効く。──人として大事なものを失っちゃってる感はあるけど、手段はともかく得られる感情は本物だから問題ないはず。  一方の

蒼の彼方のフォーリズム - BLUE HORIZON - #9

5  翌日の練習前、久しぶりにFC部に現れた姿にわたしは笑顔で駆け寄った。 「みさき先輩! 本当に来てくださったんですね!」 「本当にって、夕べしつこい電話してきたのはどこのどちら様でしたっけ?」  夕べのわたしは、悩まされていた問題からとりあえず解放されたからか、自分でも意味がわからないくらいテンションが高かった。自分の部屋で邪神ちゃんを両手で掲げながら、くるくる回って踊っていたくらいだ。その宴は突然現れたお母さんへの驚きで、机の角に足の小指をぶつけてうずくまることで終わ

蒼の彼方のフォーリズム - BLUE HORIZON - #8

 だけど、 「ありがとう」 「……え?」 「真白がいるから俺は今頑張れてるんだと思う」  センパイが口にしたのは因果を無視したような、この場面で出てくるはずがない、突拍子もないお礼で。 「本当に真白のおかげだよ」 「えっ、えと、あの、意味がよく……?」 「聞き返されても繰り返さないし詳しくも言わないからな」  なんて言われても、本当にわからない。それにもう決めたんだからそんなこと言われても困る。 「でもわたしはみさき先輩が辞めちゃったから……」 「余計に頑張ってくれるだろ?」