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看護師が看護師を嫌いになるまで


人生の夏休みの4年間を終えた2022年の春、憧れの看護師になった。看護師2年目も終わりを迎える今、嫌いな職業は看護師である。


本題に入る前に、少しだけわたしの自己紹介を。
病棟看護師2年生、嫌いな食べ物はトマト。
骨格ストレート、肩幅ガンダム、イエベ秋。概ね体育会系でアウトドア。こんなに活動的でがっちりしているのに万年Hb:9後半-10前半g/dLの貧血マン。知識もやる気も無くメンタル弱々だが声だけは大きく、元気ハツラツ系看護師として働いている。

タイトルにもある通り、わたしは看護師が嫌いである。
まず、看護師という漢字は画数が多くてバランスが取りにくいから嫌いだし、“かんごし”という響きも何だか気に食わない。
たった2年弱しか看護師をしていないのに、なぜこんなに嫌いになってしまったんだろうか。

元々わたしは絵に描いたような、看護師という職業に憧れた人間だった。
世話好きでお節介、他人を放っておけない性格で、幼稚園の頃から「自分は看護師になるんだ」と洗脳されたように言い続けていた。


きっかけは特に無かったけれど、かっこいい大人になりたい!と常に思っていて、わたしの中のカッコイイとはスーパーヒーローのように、“自己犠牲の末に他人を救う”と定義されていたから。先天性の厨二病だったのかもしれないけれど、残念ながら今もその思想は変わっていない。

おかげで、昔から看護師に向いていると言われ続けてきたし、自分でもそう思っていた。



看護師という職業が世間的にどう映っているのか、正確には理解できていないがおそらく、思っている以上にこの仕事は毎日怒られる。


もちろん職場環境によるだろうが、少なくともわたしは、1年目は怒られなかった日が無いくらいだったと思う。1年目の自分の誕生日に、病棟で1番煙たがられているお姉様から1時間ほど説教を受け、嗚咽が止まらないほど泣きじゃくった記憶さえある。



“命を扱う仕事なんだから、毎日勉強するのも厳しく指導されるのも当然”と言うなら、お門違いだと思う。緊張感のある仕事だからこそ、同僚同士で助け合わなくてどうするのだろう。




それ以降か、もしくは最初からか分からないが、“患者さんのために”ではなく、“フォローの先輩に怒られないように”、“今日の夜勤に怒られないように”と看護を業務としてするようになった。
そんなわたしが、看護師に向いている訳など無い。


毎日毎日揚げ足を取ってくる先輩よりも、正論パンチの師長よりも、処置の介助がおぼつかないわたしに呆れて鼻で笑う医者よりも、何より看護師に向いていない自分が嫌いになった。


それから、初めて会う人に「お仕事何されてるんですか?」と聞かれたら、『サービス業です、接客ですね〜』と誤魔化している。
「看護師さんなんですね、大変そう」なんてよく言われているけれど、実際どの仕事も大変さなど変わらない。ベクトルが違って、看護師は少し目に見えるだけ。それなのに、看護師はとっても大変そうに振る舞う。そんなところも嫌いだ。


急性期で働いて、なるべく救命に関わりたいと思っていた“意識高い系”だったのに、今では3年我慢したらさっさと病棟なんて辞めてやりたいと思い、カウントダウンを始めている。
看護師としてスキルアップしたいという気持ちもわずかながらあるのに、それよりも自分がこれ以上続けていけないと思う気持ちの方が大きいことがショックで仕方ない。


わたしは、看護師という職業も、看護師に向いていない自分も、目指していたかっこいい大人になれなかった現実も、嫌いだ。


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