それはつまり、嘘だよってことです。

ドラマ『あなたのことはそれほど』を最後までみた。全10話、おもしろかった。
原作を読んでいなかったらみなかったかもしれない。遠いむかし実家に置かれていて、母親が暗い顔をして読んでいた。わたしも借りて読み、それなりに暗い顔をし、時が経ってから続きはWEBのレンタルサイトで買った。そして暗い顔になった。
嫌いではないのよ、でもいくえみ綾さんの漫画を読むといつでも少し暗い顔になるでショ。

ほんとうに、ほんとうにね、誤解を恐れずに書くと、わたしは浮気とかってよくわからない。
例えば結婚なりお付き合いなりしていて連れ合いが浮気だかをしたとする。されたほうは「ひどい」とか「憎い」とかってなる。
それってひどい?
いや、ひどいんだと思う、わからないけれど。
でもさ、でもだよ、なぜそんなふうに人が自分の気持ちを尊重するものだと思えるのか。それがわたしにはわからない。ひとが、わたくしの気持ちを、尊重するのは当然か?

誰だかと好き同士になりお付き合いしましょうなり結婚しましょうなり愛を誓いましょうなりする。すばらしい。それで? そうしたあとになんしか約束を破るようなことがあったら破られたほうは一方的に被害者なのか? わたしにはわからない(法律違反だみたいな話ならまだ想像できないでもない)。

まあなんだろわたしもそういうようなことで苦しんだりなんだりしたことがまったくないとは言わないのだけれど怒ったり泣いたり暴れたり(したのか?)
でもなんていうの?
相手が100悪いとはかつて一度も思ったことがない。
何かで相手を怒らせて(浮気ではないですもちろん、もちろん?)殴られて半殺しにされたときですら思ったことがない。ああ人を殴らせてしまったな、とか、おもっていた気がする。生い立ちに起因しているのかもしらんそうでもないかもしらんそこらへんのことはよくわかんない。わかるけど。

「なるほど」とか、おもう。

それって必要以上に自分自身を軽く考えているとかそういうことではなくて(殴られたら殴り返すしダメだなとなったら引き下がるし)、かつ、犯罪だとか病気だとか明確に保護ないし他者の介入が必要なケースのような話をしているわけでもなくて、自分の経験から想像できる範囲の話、いやそういうことはあるよね、あるある、いや待てよ、あるあるってほどあるか? あるのか? う、うわーみたいな感じだった。
あるときから他人って、月のようなものだと思うようになった。月の裏側は地球からはみえない。満ちたり欠けたりする。満ちたり欠けたりしてくるくると形が変わるにも関わらずこちら側だけがみえていて、裏側は未来永劫みえることがない。
それでいいんじゃないですかね。
みえている側だけでうつくしいじゃない、というのがわたしの基本の姿勢なので、無理やりに引きずって行かれて裏側をみせられたりしない限り苦しむことがない、し、それは裏側をみせられたからではなくて無理やりに引きずって行かれたのが嫌だったわけだし、もっというと、月の裏側ってすごい神秘的じゃんとかおもってる(マジで思ってる)。だから、まあ、みえてもみえなくてもどっちでもいいし、意図して苦しめようとしているのでなければいいですよ。意図して苦しめていたとしてもそれはそれで仕方ないですよ。

なのでわかんない。

あのときわたしを殴った手は痛かっただろうな、とか、おもう。できればそんなことはさせたくなかったな、と、いまなら思ってるんじゃないかな。あれってたぶん暴力ではなくて怒りや悲しみだった気がするからさ。

9話と最終話は原作からだいぶ話が変わっていたけれど、なるほどと思いながらみた。変えていけないということもないし、それをいうなら最初から原作にはいない登場人物もいた。
ラスト近くの美都の部屋の雰囲気が良かったな。あんな部屋ならわたしも住んでみたい。

ずっと怖くて書けなかったことを書いた気がする。
つまり、人間関係においてどちらかが一方的に悪いことってそんなにあるかなということについて。何が怖かったのかというと、自分がそういう(?)人間だと思われることが怖かったのだとおもう。

※どちらかが一方的に悪い関係もあると思うがそういうものはもはや関係ではないというふうに捉えているのでそれはまったく別の話です

虚構です。

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