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はじめての1人カフェの記録

上白石萌音ライブツアー "yattokosa2022"岡山公演の翌日、上白石萌音の『チョイス』の音楽で目覚めた。時刻は8時。歯磨きをしようと洗面所に向かった。

朝ごはんに食べようと思い、前日に買っておいたスタバの「ヨーグルト&バナナグラノーラ」。スプーンを入れてもらうのをお願いし忘れたため、奇跡的にリュックに入っていた割り箸を使って食べる。昨日の昼ごはんで使わなかった割り箸だ。こういうときに役に立つとは…。昨日のわたしに感謝してヨーグルトを頬張った。

予定より少し早く目覚めたので、ゆっくり支度をすることもできたし、支度が終わってテレビを観ることもできた。日曜日の朝の情報番組。たまにしか観ないけれど、有益な情報を得ることができる。炎天下の中、屋根のないところに停まっている車はたった5分で車内も車体も温度が上昇して危険なレベルに近づく。車の中に置いて行かれた子どもやペットは、暑すぎるなかただただ待つことしかできない。悲しいニュースを聞くことがない日を祈るばかりだ。

チェックアウトの時刻は10時。行きたいカフェが10時にオープンするため、少し前に部屋を出た。1泊、お世話になった部屋。ビジネスホテルだったけれど、十分な設備だった。しかも、学割で安く泊まることができた。ロビーでチェックアウトを済ませ、お礼を言ってからホテルを出た。8月は朝でも暑い。荷物になると思って日傘を持って来なかった昨日のわたしを恨んだ。割り箸を使わなかったわたしに感謝したはずなのに。

昨日の服が入ってあるリュックを背負い、できるだけ日陰を歩いて駅に着いた。大きめのリュックだったので、荷物を預けようと思ったのだ。新幹線口の近く、帰りやすい場所に荷物を預けて、カフェへと歩く。チェックアウト後でもホテルに荷物を預けられたら良かったのに、そう思いながら、また陽を避けて歩いた。最近は、日陰でも暑い。携帯用の小型扇風機の電源を入れて、顔に当てて涼んだ。

駅からカフェへの道は遠くはなく、開店時刻より少し前にお店の前に到着した。なにを食べようか。カフェのインスタのアカウントを見ながら考えているうちに、シャッターを開ける音がした。

「おはようございます!」店主のやさしい声が聞こえて、すかさず「おはようございます!」と返した。「お好きなお席にどうぞ」そう言われて、写真が上手く撮れる場所が良いなと、悩みながら、お店の一番端の席に座った。おひとりさま用なのか、カウンターのような構造で壁に向かって座る。テーブルには店主の好みであろう本が何冊か並べられていて、どういう本なのかなと思いながらメニューブックを開いた。インスタで見たメニューブックだ。ホテルでヨーグルトは食べたけれど、朝だから食事系のものにしよう。ポテサラとパストラミビーフが挟まれたスコーンサンドを注文した。

待っている間に店内を眺める。出入口の近くには、クッキーやスコーン、キーホルダーやステッカーなどグッズが並べられていた。シンプルなデザインだったり、カラフルだったり。オープンして数週間経ったくらいのはずなのに、お客さんを楽しませる工夫がなされていた。

日曜日だったので店主の旦那さんがお手伝いされていて、スコーンサンドとセットのカフェラテを運んできてくれた。カフェラテの入ったグラスと同じか、それより少し大きいくらいのスコーンサンド。カフェラテは綺麗な2層になっている。運んできてくれた旦那さんに「店内の写真を撮ってもいいですか」と尋ねて撮影の許可を得た。スコーンサンドとカフェラテのツーショット、テーブルに並べられた本たちとの集合写真、壁に飾られている店名の写真など、数枚撮ってからスコーンサンドを口に入れた。

スコーンサンドは何種類かあって、餡子が挟まっていたりレモンバターやアイスが挟まっていたり。甘すぎない素朴な味のスコーンは何にでも合うみたいだ。ポテサラとパストラミビーフもスコーンとの相性が良く、わたしのなかで”お菓子”だったスコーンのイメージが変わった。ナイフでスコーンを切って、ポテサラとパストラミビーフと一緒に食べる。

1人での食事は誰とも言葉を交わさない。言葉を交わさないから早く終わってしまう。わたしは外の景色を眺めたり、クッキーやスコーンなどを見ながらゆっくりと味わって食べた。それでも、30分も経たないうちに皿の上には何も残っていなくて、少し寂しさを感じた。残りのカフェラテを飲み干して、店内を見回して余韻に浸る。言葉の交わさない食事も良い。誰かに「美味しいね」とは言えないけれど、美味しいなと思いながら周りの景色も楽しむ食事もとても良い。

好きな雰囲気のカフェだったな、と思いながらレジに向かった。美味しかったな。また岡山に行くときはこのカフェにお邪魔しよう。そう思いながら、レジでの支払いを終え「美味しかったです。ありがとうございました。」と店主に告げて店を出た。

時刻はまだ10時30分。30分で充実した時間を過ごせた。少し旭川に行って、駅に向かおう。わたしは日陰のない道を、日焼けしないように腕を隠しながら歩いた。今日はきっと素敵な日になる。

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