通販物流 イケてる代行業者選びのポイント
(この記事を読んでほしい人:通販の物流代行業者を探している人。主に小中規模や、個人事業者向け)
みなさん、こんにちは。
コロナの影響で通販が今まで以上に求められていますね。これは事業会社の都合だけでなく、個人が副業で商品を販売したいニーズも強くなるからでしょう。消費者も外出抑制が続く中、ますます通販での購入が増えるのではないでしょうか。
ファッション通販物流に8年従事した私が通販物流代行業者を選ぶポイントを解説します。もちろんファッションジャンル以外の通販にも通用するのでご安心ください。
私の経験値はこんな感じです。
・2011年〜2019年までファッション通販企業の物流部門部長
・物流倉庫のセンター長4年(兼任)
・倉庫坪数8000坪
・倉庫数2拠点
・商品保管数 150万点
・毎日の入出庫数 3−4万点
・毎日の撮影、採寸数 3000点
・庫内作業人数 毎日200人
倉庫坪数8000坪と言ってもピンとこない方も多いと思いますが、東京ドームのグラウンド坪数が約4000坪ですのでその倍の広さです。ファッション通販でも比較的大きい倉庫だと思います。
私は委託企業側の部門管理責任者でありながら、受託物流倉庫現場の責任者も兼任というちょっと特殊な形態で働いていました。経営と現場、営業と物流など、ある意味矛盾する両方の立場で同時に業務をしており、これまでに代行を委託したこともありますし、受託したこともあります。両方の理解をしているつもりです。
<通販物流>選定基準(定性)
これ、まず何よりも重要です。主に以下3点。
1、ヒト
2、対応力
3、提案力
簡単に言えば、相性が良いかどうかです。
1、まずはヒトです。
代行先候補を2、3見つけたら倉庫見学に行きましょう。そして倉庫で働く社員をしっかり観察してください。できれば話が上手な営業社員だけでなく、現場の社員と意見交換のMTGをしてください。(MTGが無理なら立ち話でもok)
委託したい作業内容や、彼らが現在従事している作業の質問をしてみましょう。会話の中で、社員の人柄やロジカルな受け答えができるかを見極めてください。感覚的にシンパシーを感じることができる人物かどうかも大事です。
彼らは今後あなたのパートナーとなり、彼らの業務レベルがそのまま自社の物流の質を決めるためこの見極めはとても重要です。
2、次に対応力。
業務を代行する中で事前の取り決めにない作業や、突発的に発生するイレギュラー対応、新サービスや商品販売時の作業フロー変更などがあるでしょう。その時に柔軟に自社の要望に応えてくれるかを見極めましょう。前提として前述1のヒトの要素が大事なのは言うまでもありません。
3、次は提案力。
これは改善に向けた分析と改善の提案をしてもらえるかです。自社の進化にとても重要です。物流は終わりなき改善の繰り返しです。はじめは特に意識しないと思いますが、数ヶ月くらい経て、業務に慣れると、どうしたら配送サービスや作業効率がもっと良くなるかを自社で考え始めるものです。しかし物流を外注すると、データは物流会社が保有しているため彼らの協力が必須です。この時に前向きな協力姿勢と現実的な提案をデータを根拠にしっかりもらえるかが大事なことです。
ただし、物流会社からすると手間なので、ここまで実行できる業者を見つけることは稀です。
特に、フルフィルメントバイアマゾンなどシステム化が進んでいる企業ほどヒトの要素が少ないので、これらへの期待は難しいでしょう。
<通販物流>選定基準(定量)
一般的には大きく3つ
4、立地
5、依頼する作業の要件定義
6、作業費用
4、まずは立地です。実際に担当社員が行きやすい距離にあるといいでしょう。例えば本社からの移動時間が1−2時間程度以内の距離が目安です。なぜなら外注したと言っても、倉庫への訪問が意外と多いからです。自社の新商品発売時のフロー構築や配送トラブル対応、保管商品のチェックなどをしに行きます。
また自社社員が倉庫を定期的に訪問することで物流業務に詳しくなったり、物流会社の社員と会話することで様々な情報を手にすることができます。このメリットが日常業務のの中で多々あります。
立地は代行会社から提案される場所から選ぶか指定されることがほとんどです。事前に倉庫の場所の選定条件の中に入れておきましょう。
5、次に依頼する作業の要件定義です。一般的な作業を下記の表にまとめてみました。
細かく定義すると他にもありますがまずはこんなものでしょう。委託したい作業をこれをベースに洗い出しと整理をしてみてください。
6、最後は作業費用です。
各作業1個あたり○○円といった個建費用と、
作業した1時間あたり○○円の人単費用の2種類が一般的です。
両方の見積もりをとっておくのオススメです。
<個建費用契約>
メリット・・・単価が明確なので荷主となる委託業者にわかりやすい
デメリット・・事前の取り決めと異なる作業が発生すると都度、単価の再見積もりが必要となりクイックな動きに欠ける。見積もりが決まるまでその作業はしてくれないことも。その時は自社社員が倉庫に行って対応するケースもある
<人単契約>
メリット・・・作業内容が曖昧だったりイレギュラーだったり臨時的でも委託できる。厳格に作業内容が決まらなくてもいいので委託契約の工数は少なくてすむ。作業効率が上がるほど、同じ作業数でも費用が抑制できる
デメリット・・作業員の効率によって同じ作業でも費用が変動しやすい。効率低下によって作業数が少ないのに費用が高いなんてことも発生し得る。
会社の考え方や置かれている状況によってどちらが良いかは判断が大きく分かれるところです。準備期間が少ない場合は、はじめの3ヶ月は人単契約、その後個建契約に切り替えることも可能です。3ヶ月の間に作業に慣れて効率が安定したところで、費用のわかりやすい個建契約にします。
ただし、今後のイレギュラーな作業は人単契約で費用を支払う契約も残しておくと柔軟に対応できるのでオススメです。複数の業者から見積もりをとりましょう。相見積もりがあるだけで交渉がしやすくなることがあります。
<通販物流>まずは自分で作業することが大事
さて、概略は以上です。そしてここまで書いておいて、あえて逆のことを提案します。物流代行を使わずに自分たちで実施することをオススメします。
(は?何言ってるんだ?)と思われたらすみません。でも本当です。
特に事業規模が小さい初期段階では特にオススメです。
理由は簡単。
『物流はブラックボックス化しやすく、代行会社に不当に高額の支払いをする可能性があるから』
です。
ちなみにどんな企業でも物流費用は売上高比較の5%程度が一般的です。
(2019 年度 物流コスト調査報告書【速報版】公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会より参照)
事業開始当初は5%よりもっと高い比率になることもあるでしょう。「外注したら商品の企画や販売に注力できる」、「送料を下げることができる」と思うでしょう。でもここはぐっと堪えて自分たちでやってください。
自分たちですることで物流作業の内容やコスト構造が理解できます。何が大変な作業なのか。その要因は何か。何を改善したらもっと楽に、効率よくできるのか。自問自答ができるようになります。
これが大事です。
肌感でわかるようになります。
これができると何がいいか。
物流会社に値段交渉で言いくるめられなくなります。
肌感でわかり、物流コストの構造が理解できてから、初めて代行会社に委託してもいいでしょう。見積もりが出たら、自社での作業コストと比較してみてください。自社コストがわからない場合は計算してみましょう。
方法は簡単です。直近1週間分でいいですから、各作業の個数とそれに要した時間と平均時給をまとめて、見積もりと比較してみてください。
個建単価(商品1個あたりの単価) =総時間数×平均時給÷個数
人時単価(作業1時間あたりの単価)=総費用÷総時間
※総費用には人件費以外に交通費や食事代などの支給があればそれも含めること
この把握ができていると、見積もり額と自社コストの比較が容易にできます。交渉ポイントは数字で話ができますし、値下げ要望を出す時にどの作業が値下げ可能なのか、その作業の手順を効率化する方法がないかなど、作業イメージがありありと湧くので具体的な話ができるはずです。
自分で作業していないとこうはいきません。値下げ交渉するにも根拠がないため、ただ気持ちをぶつけるだけになり難航するでしょう。代行会社の担当者もある程度は応じてくれるかもしれませんが、希望額に届くかどうかは運次第です。
そもそも、見積もりが不当に高いことに気づきもしない可能性も多分にありえます。
事業成長に合わせて作業量が増えてくると物流コストはスケールメリットが発生して自然と下がります。自社で続けてコスト比が5%未満までに下げられそうならアルバイトを雇用して自社物流を継続する判断もアリかもしれませんね。
<通販物流>まとめ 代行業者選定基準
○選定基準(定性)
1、ヒト
2、対応力
3、提案力
○選定基準(定量)
4、立地
5、依頼する作業の要件定義
6、作業費用
○作業費用は2種類
個建費用
人単費用
それぞれメリデメがあるので特徴に応じて組み合わせが良い。
○自分で物流作業をして、肌感でわかり、コスト構造を計算できると
業者との交渉に有利。
以上です。
通販事業と物流は密接な関係性を築くことで事業の成長スピードもより早まります。物流代行をお探しのヒントになれば幸いです。
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