旅客機の燃費試算 (無料)     by 茶茶 サティ


 
 
数年前のことですが、少々必要があって、旅客機の燃費試算をしたことがあります。今回はそれを焼き直して発表してみることにしました。
 

ところで… 皆様は二酸化炭素の大気中の濃度を御存知です…よね。
 
ちょっとでも環境問題を論じようという方なら当然の常識です。
ちなみに17歳位の青少年に訊ねると、実にいろいろな答えが出現します。
 
「半分くらい…50%くらいですか?」
う~ん、即死レベルですね、それ。
 
「えっと酸素が20%くらいですよね、じゃ10%!」 
酸素の濃度を知っているだけでも教養があると思います。
 
実は思ってるよりかなり少ないんだよ、と水を向けると、
「0,1%くらいですか」
と自信なさげな答えが返ってきますww
 
実際のところ、空気中の二酸化炭素濃度は0.04%程度しかないのです。仮に空気分子(実際は窒素約79%、酸素約21%)というものがあるとして、それが10000個あるとしたら、二酸化炭素はその中の4個のみ… 思っているよりずっと少ない濃度ですよね、たぶん?
 
これを言うと齢がバレてしまうですが…
「サティが高校生の頃のこの値はね、ここ1万年ほどはずっと0.027%、つまり約0.03%って習ったんだよ」
と重ねると、カンの良い青少年は驚いた顔をしてくれます。
これはつまり、二酸化炭素濃度がわずか数十年で約0.01%以上の上昇を見せたことを意味するからです。
 
スルドイ青少年はさらにこう訊いてきます。
「1万年も同じだってどうしてわかるんですか」
「南極の氷だよ。降り積もってさ、当時の空気を含んだまま地層みたいに凍り付いた氷をボーリングしてさ、溶かして調べるんだ」
 
実は二酸化炭素の温室効果はそんなに強力なものではありません。
そもそも温室効果とは、放射冷却の熱を再び地球に帰す作用を持つガスのことを指します。その作用がまるでガラス温室が暖かい理屈と同じことから「glasshouse effect」と呼ばれるのです。
 
二酸化炭素もそうだし、水蒸気も同様です。でも水蒸気を無くすワケにはいかないですからね。だからやはり二酸化炭素なのでしょうね。
しかし同じ濃度であれば、窒素酸化物NOⅹや硫黄酸化物SOx、そしてフロンガスの方が数十~数万倍もの効果があります。メタンガスCH4でさえ16倍もの作用があると言われます。

ではなぜ二酸化炭素が諸悪の根源のように扱われるのでしょうか。

それは…二酸化炭素排出量がベラボーに量が多いからなのです。地表や水面近くの緑色植物がいかに光合成を頑張って二酸化炭素を有機物として封じ込めても…

到底足りません。

 
火山活動や生物の呼吸、製鉄やコンクリート製造などのほかに化石燃料の利用と燃焼等でとにかく莫大な量の二酸化炭素が発生します。

そしてさらに…航空機も!
船は安く大量に物資を運ぶことができます。これはもう、現代文明には必須ですよね。飛行機は速いですが… でも本当に生存にとって必要不可欠のツールなのでしょうか。
究極の選択。環境保全のためにフネかヒコーキか、どちらかを諦めなければならないとしたら…
公共の福祉のため(例えば食料の輸入や輸出)なら迷う余地はありません。
ヒコーキには死んでいただきましょう。
 
こんな試算をしたことがあります。それは飛行機の燃料消費率(以下燃費と略す)と二酸化炭素排出量です。データは中村寛治氏が著した「ジェット機の操縦」という本のあちこちから拾ってきました。データに誤りがあれば、それはこの本の誤り、またはサティの読み間違いか解釈の誤りです。また使うデータはあくまでもカタログスペックということになります。
本来この飛行を支えるタイヤやオイル、機材製造にも多くの原油由来のマテリアル(資材)が消費されていますが一切無視して、飛行に使う分だけの値を出してみましょう。
 
 
設定は…
・機材とペイロード、搭載燃料の設定:
 B(ボーイング)777-300ER 約乗員乗客計500人乗り
 
ペイロード(人間+貨物の質量)が多ければ航続距離は減ります。
ペイロードなし(0トン)なら燃料を145.5t(トン)を積載して
15500kmを飛ぶことができます。

つまり燃費は
15500 / 145.5 = 106.5 という計算になり、
燃料1トンあたり106.5(km/t)飛べることがわかります。
 
一般的に乗客400人とその荷物の平均質量は39.2トンだそうですが、ペイロード39トンまでは燃料をフルタンクで積むことができるというので、そのデータも載せておきましょう。この場合の航続距離は14000kmです。39.2トンのうちの0.2トン分はちょっと無視しちゃいましょう。
 
 14000 / 145.5 = 96.2(km/t)
増加した39トン分で燃費は燃料1tあたり約10km悪化したことになります。
 
 
最大離陸重量は351トン、最大ペイロードは70トンですので、このデータで計算すると、燃料は114.5トンしか積載できません。必然的に航続距離は10000kmになってしまいます。

このときの燃費は
10000 / 114.5 = 87.3(km/t)
ということになります。
 
なんとなく計算の方式が納得できたでしょうか。
 
 
さて、成田空港とNYのJFK(ケネディ)空港との距離は… 大圏航路はよくわかりませんが、やや多めに見積もって10900kmくらいでしょうか。時間は13時間と見ておきましょう。ちなみに帰りの便では約14.5時間かかりますが、これは地球の自転の逆向きですが、自転に引きずられる大気の流れに逆らい、かつジェット気流にも逆らった飛行ですので、気速(対気速度)は同じでも対地速度がどうしても落ちるためです。

ちなみにジェット燃料の価格はよく判りません。国際慣例として燃料は免税されていますが… 自衛隊が採用しているJP-4という燃料は2016年には52円/Lでした。
チケットの値段もいろいろあってよく判りません。燃料費が高騰している時には「燃油サーチャージ」という追加料金が徴収されたりしますよね。
2016年時点では7~16万程度のチケット代でした。もちろんビジネスクラスやファーストクラスでは目の玉飛び出ちゃうお値段でしょうねww
 

飛行機の大きさは定員483名、長さ70.6m、幅64.4m、高さ19.4m。エンジンはターボファンエンジン4基で巡航916km/h、つまり亜音速で飛行できる性能があります。
 
むろん燃料搭載量には余裕があります。なきゃ困ります。
14000km飛べる燃料を持って10900kmを飛ぶのですから、消費燃料は
145.5/10900/14000 ≒ 114トン
と見積もっておけば良いでしょう。
 
では燃費(燃料消費率)を算出してみます。
 10900km / 114t ≒ 95.6(km/t)
 
燃料費用は
 114t×52×10^3 ≒ 5928000円(約600万円)
 
ろ、ろっぴゃくまんえん?!
げっ… という数字がでてきましたね。
 
 
ではNYまでの「片道」で消費する酸素量と発生する二酸化炭素量を計算してみましょう。
 
 燃料をドデカンC12H26と仮定します。その燃焼反応式は次の式で表すことができます。
 
式    2C12H26 + 37O2 → 24CO2 + 26H2O
質量比  2×170g    37×32g   24×44g   26×18g
質量   燃料114t    Xt     Yt     Zt
 
ⅰ)消費する酸素量(t)は
 2×170 : 37×32 = 114 : X(t)
 X(t)= 37×32×114 / 2×170 ≒ 397(t)
 
2)発生する二酸化炭素量(t)
 2×170 : 24×44 = 114 : Y(t)
 Y(t)= 24×44×114 / 2×170 ≒ 354(t)
 
繰り返しますが、これは片道です。逝ったまま帰って来ない方もたまには居るかも知れませんが、普通は行ったら帰ってきますからね…
 
成田-NY間の10900kmを13時間掛けて、600万円分の燃料と400t近い酸素を浪費し、350t余の二酸化炭素を巻き散らかして飛行している… 
それも1機や2機じゃありません。
「フライトレーダー 24 – 飛行機 運航状況 リアルタイム」
などをネットで検索していただけば、もうアリとかハチの巣の中なんじゃないかと錯覚するくらいたくさん飛んでいます。
 
その旅行に、この大切な地球を汚し不可逆的とも思える持続的破壊を繰り返す価値なんて本当にあるんですか?
会議だの打ち合わせだの、ネットでやりゃいいんです。
この際ぶちまけてしまいますが、ド素人が単なる思い出作りや土産話のために旅行したって何の意味もない… 結局自慢話のネタ作りに行くようなもので、所詮はその場限り、猫に小判なんですから。
どころか「破滅を加速させるだけ」です。
 
 
SDGsが単なる掛け声と免罪符に過ぎないことは、実は大部分のヒトはわかってるんでしょ?
 
かの高名なグレ〇どのは、NYの国連で演説する前はカッコつけて船で大西洋を渡りましたが、帰りはどうしたか御存知ですか?
スタッフや船長は結局飛行機使ってますからね。
なさけないことに、結局あれが実体なんです。あの騒動が、実は環境破壊派の陰謀であり策略だった… と勘繰りたくなるくらいに効果的な大茶番劇でした。
 
 
やっぱ観光だ、景気だといって、航空会社の好き放題に運行させちゃならんでしょ。
鉄もコンクリも正直極端に減らすことはできない。これは現代文明の生命線ですから。
 
でも不要不急の航空機はガマンすれば相当数を減らすことはできる。なにも朝どれ北海道の鮮魚を夕方に東京で食べる必要はないのです。NYまで会議に行く必要などどこにもない… 何のためのネットなのでしょうか。
 
例えばツバルやキリバス、セーシェルといった島国が海面に飲み込まれそうでも、みんなが
「オレが直接手を下したワケではない」
と信じ、結局責任を取る人は誰も居ないのはわかっていますから。
そして罰せられることも絶対にないのです… 例えば首謀者であったとしても、そういう法律がないのですから。
 
 
結局「環境問題」ってものを突き詰めると「経済問題」になっていくものであって、みんなが万々歳で解決する方法はありません。

もっと言いたいことはありますが、今回はこのくらいにしておきます。
ちょっとだけでもこれらの数字に驚いていただければ… ありがたいことです。

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