![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/96219129/rectangle_large_type_2_60f1119ca9b5224eb88517553e3b987f.png?width=800)
野良猫とダメな部分
スーパーの帰りに定食屋の車の下をのぞいたら、久しぶりに馴染みの猫がいた。
一年前から住んでるこの街は、野良猫との遭遇頻度が高い。ここの子は、口の下にほくろがある白黒の靴下にゃんこ。クリーム色に青味がかった、立待月みたいなきれいな眼をしている。
前より近付いても逃げなくなった。つまらん。
野良猫が自分から逃げていく瞬間が好きだ。しがらみに囚われないで生きている奴らに、自分の薄暗い部分を重ねて傷を舐めようとする。そういう自分の馬鹿でダメな部分が、その瞬間突きつけられる気がするから。
——お前になんかわかるものか、と。
もう少しだけ近付く振りをしたら、店の裏手に逃げてった。本当は、ちょっと触りたかったのかも知れないけれど。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?